私の推し

新型コロナ感染が拡大してもう2年、気の合う仲間や友人と飲んだり食べたりしゃべったりということで、日ごろのストレスを解消し、新しい情報を得て、医師仲間には自己承認欲求を満たしてもらってきた私には、まだまだ日常が戻っておりません。さみしいなあ。

そこでひとりで好きになって推しにはまる、という逃げ道があります。しかし趣味や楽しみは人によってそれぞれで、自分にすごい“推し”があっても、興味のない人にはなんだ?ってことありますよね。あまり人に熱く語って迷惑をかけないように気をつけています。

もともと昔から漫画は大好きでした。「鬼滅の刃」が推しなのは、クリニックのあちこちにグッズが並べてあってご存知の方も多いでしょうが、全国的にヒットして、子どもたちだけでなくお母さま方もファンが多く、共感が得られてうれしかったです。漫画が終了しても私の中でお話は生き続けていますが、次期作のアニメまではちょっと周囲の熱は冷めているようです。でも動画で鬼滅の柱たちが踊っているMMDはまだまだ楽しいですよ。今旬でおもしろいのは「SPY×FAMILY」で、原作漫画もいいけど、アニメのアーニャがめちゃかわいいです。

クイーンも大好きで、楽曲をよく聞いていますが、先月末は「QUEEN大花火大会」に行ってきました。花火大会もあちこちで中止が続いていますが、これはクイーンの曲に合わせた打ち上げ花火1万4千発?(数えてない、当たり前だ!)が圧巻でした。

映画も最近は家でも見られるそうですが、話題作や大画面で見たいのは映画館に行きます。車で10分なので結構出かけていきます。去年は、アカデミー賞取る前に「ドライブマイカー」を観ました。それからマニアックなので知らないでしょうが「Dune砂の惑星」がよかった!有名な昔からのSFの古典ですが、すごいファンタジックな映像でした。先月は「シンウルトラマン」、私は初代ウルトラマンをテレビで見て育った世代ですが、着ぐるみのウルトラマンがこうして現代で同じように戦っていて、地球規模で政府とか科学特捜査隊とかまじめに取り組んでいるのがおもしろかった。そして今日「トップガン マーヴェリック」を観てきましたが、1985年にトム・クルーズが主演した「トップガン」の続編。トム・クルーズ、もうすぐ60歳なんですよ!不可能なミッションに挑む若い戦闘機乗りたちを指導する教官役なんですが、本当にみな5か月の訓練を受けて撮影したという空中戦の映像がすごい!かっこよかったー!

ほら、熱く語るとなんのことやらわからんという方にはご迷惑ですから撤退。でもこうして仕事への鋭気を養っております・・・・・。

5月のウイルス

4月から保育所に行き始めた子どもたちが、1週間くらいすると風邪をひいて、しばらくすると熱を出す。これは、集団生活に入っていろんな感染症をもらうので、小児科ではごくあたりまえのことです。感染力が強いウイルスに関しては検査ができ、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、ノロウイルスなどは診断ができます。でも、インフルエンザは抗ウイルス剤で飲み薬も注射もあるので診断がつけば処方して、発熱期間を減らし、合併症を減らすことができますが、ほかのウイルスには特効薬がありません。ただ、診断がつくと、熱や症状の続く見通しがたつし、気をつけることを家族にお話しすることができます。でも多くのウイルス感染は、保険の効かない特別な検査をしないかぎり、何のウイルスかは診断がつかず、結局ひとつひとつ抗体を作って免疫をつけていくしかないのです。

2-3月は子どもたちのあいだで新型コロナウイルスも多かったですが、この1か月は、発熱者が日に10人弱いるとしても、コロナ感染は週に2-3人とずいぶん減っています。普通の風邪のほうがずっと多くなり、やっと日常に近くなりました。

それから、鼻水も咳も、病原体を体から出そうとする生体反応です。鼻水がつまって眠れなかったり、咳き込んで眠れなかったりすればすこしお薬もいるでしょうが、飲んでぴたっと咳や鼻水が止まる薬は小児科では、実はないのです。本人が困ってなくって眠れていて食欲があって機嫌がよければ、そうそう慌てることはありません。

保育園・幼稚園に行き始めた子どもたち、子どもの熱で呼び出されたり、仕事をやりくりしなければならないお母さん、お父さん、がんばれ!

ゆううつな春

春はいつも駆け足で過ぎていきます。今年も桜が散り暖かくなり新学期が始まりました。

コロナ禍の生活も3年目、政策的な規定はゆるんできているものの、マスクを外して好きな時に好きなだけ遊びに行く、食事をする、飲み会をする、というわけにはまだいきません。本当にこの日々、学会や研究会で同じ医者仲間で情報交換するとか励ましあうとか、愚痴をいって慰めてもらうとか、人との交流で育ち救われてきた人間としては、引きこもりが続くと気がめいって鬱っぽいです。もちろん誰でも大なり小なりそういう影響は受けていると思いますが。

また、最近医師がターゲットになって殺された事件はショックでした。埼玉の訪問医療の医師が亡くなった患者さんの弔問に行って息子に撃ち殺された事件、大阪の診療内科で医師と患者さん方が丸ごと放火された事件。いいかげんな診療や誤診、説明不良など医師としての仕事が悪くて患者さんが怒って攻撃する、というならわかるけど、どちらも誠実に一生懸命患者さんの診療にあたっていた医師だったと聞いています。

私は医者になって40年ちかく、基本は患者さんのためになる医療をしようとやってきて、一生懸命自分のできることで誠意をつくせば報われる、理解してもらえると信じてきました。でもこれらの事件の医師のように、そうやっていたって殺されることがあるんだ、ということで本当に動揺しました。

小児のアレルギーは、慢性疾患で何年ものお付き合いになります。治療は継続することが必要なことが多いです。喘息はいい薬があって、発作をコントロールすれば治っていくことも多いです。アトピー性皮膚炎も最近は適当に悪くなった時にステロイドを塗るのではなく、ずっと塗り続けるプロアクティブ療法が有効ですが、毎日毎日薬や保湿剤を塗るのは大変で、2か月に一回定期的に、調子がいいのに受診するというのは患者さん家族には大変なのかもしれません。食物アレルギーは少しずつ食べていく経口免疫療法で治すしか今は治療がありません。軽い人は年齢がいくと3-4歳で自然に食べられるようになることもありますが、当科に受診される重症のかたは週に3回食べ続けなければ治っていかない方が多いのです。とはいえ忙しい毎日、症状が出るかもしれないのにコンスタントに食べ続けることがどれだけ大変か、きっと私は本当にわかっていないのです。毎日塗ってくださいねーとか、このくらいの量をこれだけ食べて増やしましょうねーとか指導はしますが、その大変なことを日々行うのはご家族なのです。

2-3か月に1回は経過を聞かせてほしいのですが、半年とか1年ぶりに受診され、皮膚がめちゃめちゃ悪くなっていたり、食べるのをやめていたりすると、多分私はがっかりした顔をしていて、ご家族を傷つけているかもしれない。よく聞くと、お母さんが入院して手術をしたり、出産をしたり、実家の介護が大変だったり、お父さんが亡くなったということも何回かありました。日々の生活が大変で、悠長なアレルギーの治療などしてる場合じゃなかったんです。簡単に、毎日塗りなさい、食べさせなさい、なんて言うなあ!と言いたいかもしれない、知らずに患者さんを傷つけていて私も、こんな医者きらいだ!とか思われてるかもしれない。

とはいえ、何年もかかって卵、乳、小麦が食べられるようになったり、喘息の治療が不要になり、ご卒業になる患者さんもいて、仕事を続ける励ましになっています。長い間ありがとうございましたと家族から言われるのですが、いえいえ、何年も通ってくれて、頑張って続けてくれて、ご家族のおかげでよくなったんですよ、こちらこそありがとう、というのが私の本音です。患者さんの頑張りにささえてもらって医者の仕事が成り立つのです。

つらつら思いの揺れる春です。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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