アトピーが先か食物アレルギーが先か

春になりました。やっと暖かくなり、桜の開花も間近いようです。
クリニックは毎年の一番忙しいシーズンに入っています。入園、入学、卒業、転居・・・いろんな出会いもありお別れもあり、依頼される書類も多く、アレルギー診療を卒業していく子どもたちもいます。
もともとアレルギーってなんでしょう。IgEを介するアレルギーの病気はいろいろありますが、そもそもIgEを作りやすい体質は遺伝的なものがほとんどなので、そういう持って生まれたアレルギー体質は変わることはありません。ただ、アレルギー体質があっても、アレルギーの病気があるかどうかはまた別ですし、IgEが多くなってくるか、病気を発症するかどうかというのは、環境要因が大きいので、アレルギー専門の医者の仕事は、病気の治療のみならず、アレルゲンの特定、生活の指導が重要になってくるのです。
たとえば、生後3-6か月くらいで湿疹・かゆみが増えてくる赤ちゃんは多く、いわゆるアトピー性皮膚炎の発症なのですが、検査をすると卵、牛乳、小麦のIgEが高いということがよくあります。昔は小児科医は、食物アレルギーがあって皮膚炎が起こるのだと考え、いろんな食物制限をしたものですが、最近はずいぶんいろんなことがわかって考え方が変わってきました。皮膚の湿疹や傷や乾燥があると皮膚のバリア機能が低下していて、それからいろんなものが体内に入ってくることでIgEが上がるということです。つまり、皮膚炎が先で食物アレルギーは原因でなく結果かもしれない。アトピー性皮膚炎の程度を示すTARCという検査をしてみるとよくわかります。発症1-2か月の湿疹の赤ちゃんでは、TARCは高く、皮膚のバリアが壊れて湿疹ができているのですが、まだ食物のアレルギーはほとんどありません。そこでステロイド外用薬で短期集中で皮膚症状を改善すると、皮膚は治ってしまい、食物アレルギーはほとんど進まずに終わってしまうのです。最近は、ステロイドがこわいというお母さんは減って、とにかくかゆくて眠れない機嫌の悪い赤ちゃんが心配でなんとかしたいという熱心なお母さんが増え、指導の通りステロイドを塗ってもらうと短期間で皮膚がよくなり赤ちゃんの機嫌がよくなるので安心してもらえます。
なんでもなく早くに治ってしまう病気なのに、こじれて悩んでしまう親子が減ってくることを願っています。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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