今月の独り言
保育園のこと
4月から保育所に行き始める、という子どもたちの健康診断やアレルギーの意見書を多く書いているこの頃です。なかなか希望の保育所に入れない子どもも多く、「日本、死ね!」という保育所に落ちた母の叫びもよくわかるものがあります。待機児童も問題ですが、劣悪な保育環境はもっと深刻です。姫路の認定子ども園で定員超過の子供を預かっていた件では、何より子どもたちの給食が安全に十分に与えられていなかったというのが一番ショックでした。
私は、結婚13年目にやっと子どもを授かって高齢母となりました。体力は人並み以上にあるし、小児科医ですので生まれた赤ん坊のことであまり心配はないし、とにかく待望の赤ん坊が来て、楽しいうれしいおもしろい、の毎日でした。唯一の問題は、結構専門の仕事(アレルギー専門外来)をしていたので育休をとっても替わりの先生が来るわけでもなく、上司の先生に負担がかかるので、産休だけで復帰することにしました。夫は単身赴任で別居でしたし、実家は遠方で第一もう両親は高齢で孫の世話どころではありません。頼りは保育所だけでした。生後2か月から病院内のデイケアに赤ん坊を預けて復帰。病院の近くにアパートをかりて最初はベビーカー、後になると自転車で子どもをのっけて出勤。昼休みには授乳に行って、夕方仕事が終わると子どもを連れて帰り、「お母さんと一緒」を見たり歌いながら自分のご飯と離乳食を作って日々成長する子どもと過ごす。人生で一番楽しい時期だったなあと思います。
子どもが2歳になる前に京都に引っ越し、家からすぐ近くの公立保育園に通うようになりました。通勤時間が長いので、延長保育の一番に預け、一番最後に迎えに行く生活でしたが、とってもいい、家庭的な保育園で、子どもたちがのびのび育ちました。うちの子が一番滞在時間が長いので、どの先生にもほかのクラスの父兄にも〇〇ちゃん、と可愛がってもらえました。お散歩中に転んでおでこにけがをした時も先生が病院に連れて行って、抜糸も連れて行ってくれました。お誕生会で給食の試食をして、「冬瓜のひすい煮」なんていう手のこんだ季節のものが出てびっくり。息子は好き嫌いが何もなく育ちました。ときどきお迎えにお願いするベビシッターにも恵まれ、家族で可愛がってもらって、おかげで私は仕事を続けることができました。本当に、子どもを育てるのには親だけでなく、周りのみんなの愛情と理解がいるのです。
おかげで息子は今年20歳になります。新たに保育園・幼稚園に行き始めるたくさんの子どもたちが、のびのびと明るく強く成長しますようにと願わずにはいられません。