春のアレルギー外来

世間では春休みのようです。1時間かけて、御堂筋線・JRや帰りは新幹線を使って遠距離通勤をしていますが、3月半ばから、滋賀から大阪に遊びに行く小・中・高校生の男の子女の子の集団が通勤電車の座席を占めていて、座れません。京都駅・新大阪駅も、大きなトランクをひいた若者や家族連れの旅行者で歩くのも大変、新幹線のホームは、英語でない外国語が氾濫して外国人旅行者の集団でいっぱいです。普通はすぐに座れる新幹線自由席も探さないといけません。通勤だけで疲弊しています(涙)。

春なので、高校、大学の入学・卒業や就職など、長年アレルギー疾患で通ってくれて来た患者さんたちが、立派になって御礼や報告に来てくれます。うれしいことです。今は治療法が確立し、乳幼児のアトピー性皮膚炎も食物アレルギーも早くによくなるし、喘息もちゃんと治療したら子どものうちによくなることが多いのですが、重症だったお子さんたちは15歳超えても通院が必要な方も多かったのです。問題は、多くのアレルギーの患者さんに対して、アレルギー専門医が少ないことです。アレルギー科を標榜していても専門医がいるのは30%足らず、小児科医でアレルギー専門医の資格を持っているのは全国で1000人ちょっとと言われています。今でもときどき、ちゃんと長期管理ができていない喘息児がやってきてちょっとびっくりします。

年度末なので、食物アレルギーの学校生活管理指導表を求めて受診される患者さんが多いのですが、1年ぶりとか2年ぶりとかに受診される方も多く、以前に少しずつ食べるものを増やしましょうねーと指導したのにまったく食べていない方も多いです。食物アレルギーは、少しずつ食べていって体に免疫をつけていくしか、食べられるようにならないのです。アレルギー専門医ですので、安全で食べていける方法を詳しくお話しているのですが、2-3か月ごとに経過を報告してくれる患者さんは確実に食べるものが増えますが、1年ぶりの方はほとんど増えていません。日々食べていく努力をするのは大変なことなのですからそれもわかりますが。まあ、卵や乳や小麦、食べられないと不便ですが、別に食べたくないなら無理せんでもいいよーと言っています。

人それぞれの春。

 

ペクチンアレルギー

今年の2月は寒かったり春のように暖かかったり、季節の変化が激しいですね。

ウイルスの流行は、本来は気温によって変化するものでした。例えばインフルエンザウイルスは低温・乾燥で増殖しやすいので、寒くなってくると流行が始まり、春には終息する。手足口病やアデノウイルスは逆に夏の感染症のイメージでした。そしてある程度流行すると抗体保有者が増えて、次の感染を集団的に予防できると。しかし2020年からコロナの感染で人々が引きこもるようになり、自然な季節の変化によるウイルスの増減がなくなり、病気の流行がなくなり、抗体もできなくなり、その反動で翌年は大流行になったりともうめちゃくちゃ。まったく予想がつかなくなりました。

この2月はインフルエンザBが流行中で、溶連菌もまた増えています。ウイルスと違って抗体ができないので、溶連菌の感染を繰り返す人も多くなっています。実際の現場では、患者さんの症状と熱型と診察所見で、必要な検査をして診断をつけていきます。まあ、なんの検査もしないような診療所もあるみたいですが、私は医者として自分が納得して患者さんに説明して安心してほしいので、検査をして処方をします。もし診断されなくて放っておいても、インフルエンザもコロナもアデノも溶連菌も、ひどい合併症になる確率は少ないのですが、インフルや溶連菌は薬があるし、アデノやコロナも病気の見通しを話すと患者さんも安心するかなあと思います。幸い今のところ、入院を勧めるような患者さんはほとんどなくすんでいます。

先日、紹介で来た10歳の男の子、もともとカシューナッツのアレルギーがあるのですが、お菓子と金柑を食べてアナフィラキシーになりました。お菓子にカシューナッツが混じっていたのかと考えましたが、文献を調べると、カシューナッツアレルギーにペクチンアレルギーが合併することがあると報告がありました。ペクチンとは、植物に含まれる多糖体で、かんきつ類やリンゴの皮の内側にありますが、ジャムやスムージーなどとろみをつけるのに使われています。血液検査では検査項目がありません。そこで、プリックTOプリックテストといって、怪しい物質そのものを皮膚にのせてひっかいて反応を見る検査をすると、金柑の皮の内側の部分と、市販のペクチンの粉を溶かしたもので強陽性が出て、ペクチンアレルギーが診断できました。最近は、変わった食物アレルギーが増えています。やれやれ、わかってよかった。

3月は、この春はどうなりますか。暖かくなり、花々も咲き、日差しも降り注いで、心が晴れるといいなあ。

ノーサイド

今年は元日から能登半島大地震、続けて悲惨な航空機事故と続き、なんと不穏な幕開けとなりました。能天気に新年おめでとー、と言えなくなったので、リセット、明るく、という年ではなくなりました。

診療が始まりましたが、アデノ・溶連菌はなりをひそめ、ウイルス性胃腸炎が増え、インフルエンザもB型で学級閉鎖が増えてきました。どれも重症にはならず、診断さえちゃんとすれば薬と経過の説明をして数日でよくなります。コロナもぱらぱらありますが、特徴がなく発熱も軽く1~2日なので検査せず終わっているものがあるかと思います。

14日の日曜日には、花園ラグビー場にリーグワンの試合を見に行きました。花園近鉄ライナーズがトヨタヴェルブリッツを迎えての試合。競技場で実際に生で見ると迫力が違います。全体を見渡せるので、攻撃の変化やスピードがよくわかるし、モールから出たボールがどう運ばれるか見えるし、スクラムの時の声も聞こえて、とても楽しい時間でした。その前後から、松任谷由実の「ノーサイド」を聞いて歌っています。昔から好きな歌でした。ラガーマンの恋人の最終の試合を見守る女子の目線で歌われていますが、試合が終わったノーサイドの風景を見事に表現していて、ユーミンすごい。私も学生時代彼氏がラグビー部だったので、いやほんとよくわかる。「人々がみんな立ち去っても私ここにいるわ」

私の患者さんにも今度高校生になる、ラグビー選手、アメフト選手がいます。怪我しないようにして頑張ってほしいです。

今年もどうぞよろしく。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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