アレルギーの専門医は少ない

手足口病が全国的に大流行です。はじめに喉が痛くなりますが、熱はあっても1日くらい。のどが赤くて水ぶくれができ手足にも発疹がでてきます。食欲がちょっと落ちますが、数日で元気になります。あまり合併症はありません。

来月小児臨床アレルギー学会で、医療連携のシンポジウムの座長をするので、小児アレルギー専門医がどのくらいいるか調べてみました。小児のアレルギー疾患は多く、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息は、年齢によって有病率は異なりますが、全体の6~15%くらいはあります。たくさんのアレルギーの子どもたちがいるのに大阪府では小児アレルギー専門医は109人で、そのうち北摂(豊中市、吹田市、箕面市)には8人しかいません。

アレルギーは慢性疾患で、安定して軽症であれば診療所に定期通院するということになります。気管支喘息であれば、発作を繰り返さないように予防治療が最低3か月から年単位で必要ですし、アトピー性皮膚炎も薬を塗ってよくなってもいい皮膚を維持するのが大変です。食物アレルギーは本当に制限が必要なものを最小限にして食べていく指導や負荷試験が必要です。専門医のいる小児科診療所は豊中で4か所(5人)、箕面で1人。吹田は今までゼロでしたが、7月から海老島先生が開業されるので、やっと1人誕生です。アレルギー科と看板にあっても、アレルギー専門医がいるわけではありません。何回もぜいぜいするのをくりかえすとか、薬を塗ったらよくなるが無くなるとまた悪化するとか、検査もせずにあるいは負荷試験もせずに、3歳まで卵やめなさい、なんていわれるようなら、専門医を調べて相談してください。

アレルギー疾患も、重症になると病院への紹介が必要になります。喘息発作で入院治療が必要になるとか、通常のステロイド外用でよくならない重症のアトピー性皮膚炎とか、食物アレルギーが重症で入院しての食物負荷試験が必要になるとかいう場合です。ところが北摂の国公立病院の小児科にアレルギー専門医は、市立吹田市民病院に1人しかいないのです。

アレルギー学会では、全国に拠点病院を作って、アレルギー専門医療を広めようとしています。大阪府には4つ(大阪赤十字病院、関西医大附属病院、近畿大学附属病院、大阪はびきの医療センター)ありますが、みな中部~南部なのです。食物アレルギーの重症児ははびきのにお願いすることがありますが、ちょっと遠いので、大阪市北部の専門医のいる病院に紹介しています。

ちゃんとした医療をするのも受けるのも大変ですね。

5月の外来

一般小児科外来はまだ発熱が多いです。熱が続いたり高熱だと、溶連菌感染だったりしますが、普通のかぜ(上気道炎)も多いです。小さい子では、保育園でRS ウイルス感染や手足口病も流行っています。

それから、あいかわらず、喘息の診断をせず普通の小児科で短期のステロイド吸入や服用を繰り返されている子もいますね。また、喘息でこちらで長期管理している子が、咳が1か月続いて、見ると他院でメジコンを毎週出されている。聴診で痰の音がしていて、気管支拡張剤を吸入するとクリアになります。おーーーい、気管支喘息の子に咳止め出すなあ(メジコンとかアスベリンとかアストミンとか)。呼吸抑制もくるし、痰がつまるんだよう。喘息のガイドライン(教科書)に禁忌と書いてあるんだよう。・・・・いくら言っても他から注意されるとか自分で勉強するとかしないと知らないものはしょうがないですね。患者さんが迷惑こうむっていますけど。

暑くなってきて、汗や暑さで皮膚がかゆくなることが増えてきました。でもアトピー性皮膚炎でも日頃からプロアクティブ療法や、モイゼルト・コレクチムを使っていい皮膚にコントロールしておくと、そんなに悪化しないです。汗をまめに拭いて、シャワーをするとあせももできないし、ちょっと赤くてかゆくても、1~2回ステロイドを塗るだけでよくなってしまいます。

気管支喘息もアトピー性皮膚炎も、気道や皮膚が過敏で炎症が続くことが悪化の原因です。どちらも悪化因子を除きながら、喘息は長期管理薬で発作がないように飲み薬や吸入薬でコントロールし、アトピー性皮膚炎も、皮膚状態を湿疹やかゆみがないように外用薬や保湿剤でコントロールする。子どもの気管支喘息やアトピー性皮膚炎は、そうしながら治っていくのです。年長児や成人の場合は治るのは難しいけど。

こういうことを毎日患者さんにくりかえしお話ししています。

追記:5月31日の一般外来は、発熱患者15名。そのうち溶連菌が7名。手足口病とアデノウイルスとRS ウイルスが各1名ずつでした。まだまだ多いぞ、溶連菌!!

4月のシャーロックホームズ

4月は新年度、保育園・幼稚園に行き始める子どもたちが多く、いろんな病気にかかって受診されます。特に0~3歳児で、初めて集団生活に入ると、流行している感染症を次々にもらうんですね。1-2週間で鼻水がでて、1か月以内に熱が出る、というのが私の見立てです。でも、感染症といったって、普通の風邪―上気道炎がほとんどです。1~3日の発熱と鼻水・咳ですが元気です。ウイルス性の胃腸炎も流行っていますが、軽く、熱は1日のみ、半日吐いてあとは下痢が数日。でも吐き気が止まれば割と元気です。いずれもウイルス増殖がおさまるのを待つしかありません。昔は本当に重症になるあるいは合併症の多いウイルス疾患、麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜで小児科は大変でしたが、今は予防接種のおかげでほんとに見なくなりました。

少し前までは、インフルエンザ、新型コロナも流行していましたが、最近は少なくなっています。溶連菌は相変わらず流行中です。溶連菌は咽頭発赤が強く熱が続き、検査で出れば、細菌なので抗生剤という治療法があります。疑って検査することが重要です。先日高熱が4日続くと受診された子、二日目に他の小児科で検査しインフル・コロナ陰性と言われましたが、それではなんだ、とは言われていない。のどを見たら真っ赤で扁桃炎で、溶連菌を疑う所見。検査ですぐ陽性。二日前、のど赤いっていわれませんでした?と聞くとのどを診てもらってないと。私びっくり。熱の出ている子どもののどを診ない小児科医なんているの???二日前でものどを診たら、インフルコロナなんかより溶連菌の検査で診断がついたかもしれない。

咳をしているのに聴診しない、という医者もいるみたいで。耳鼻科の先生がときどき聴診せず処方した薬を見たら喘息の薬ということがあります。いやいや、聴診で喘鳴なければ喘息わからんやろ、と思いますが、耳鼻科だから聴診しなくても文句はいえない。ちゃんと聴診してくれる耳鼻科の先生もいますけど少数派。

小児科でも、熱もなく、腹痛だけとか便秘とか、そういうときは私ものどを診ないことありますけど、熱と呼吸器症状あれば、のど診て聴診は必須です。というかそうしないと診断できないです。

熱も、何度くらいの熱が、一日でどう変動してどのくらい続いているか、それによって疑う疾患が違います。溶連菌とインフルエンザの熱の経過は違うのです。アデノウイルスも特徴的な、朝下がり夜40度になる、みたいなギザギザの熱が続きます。受診の際は、熱の記録を熱型表にしてお持ちください。私は熱型表を前において、親御さんに症状を聞いて、だいたいの検討をつけて診察をし、検査をします。毎日シャーロックホームズみたいですよ。

さあ、これで連休になって、また感染症が増えるのか、どうでしょうか。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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