熱型表を利用しよう!

インフルエンザの流行もやっとピークを越えたようです。そのほかにも、マイコプラズマや溶連菌感染も流行っており、熱のある患者さんを診察して、早く的確に診断することが私ども小児科医に求められています。
その時に役に立つのが熱型表です。体温を1日3~4回測ってグラフにして記録していただくと、いろんなことがわかります。よく、何日の何時に38.6度、とか書いた記録をいただくのですが、それを時系列にしてグラフにするのです。
「熱があって・・」とお母さんたちはよくおっしゃるのですが、それが37度台なのか39度台なのか、どのくらい続いているのか、あるいは朝は下がるが夜になると高くなるという熱なのか。病気によって熱の出方、続き方が違うし、また治療がうまくいっているかどうかも判断ができます。
たとえば小さい子によくある突発性発疹症ですが、これはいきなり39度を超える熱が出て、上がり下がりなしにずっとまる三日続きます。そして三日目にすとんと熱が下がってそのあと全身に発疹が出て診断がつくのです。熱が高いわりにほかに症状がなくわりと元気で、診察所見に異常がない赤ちゃんであれば、これを疑って三日までは様子を見ます。かえって熱が下がって発疹があるときのほうが機嫌が悪かったりしますが、発疹が出ればひと安心、というわけです。
インフルエンザも、高い熱が続きます。タミフルやリレンザなど抗インフルエンザ薬が効くと、二日から三日で熱が下がってきます。二日間平熱になるとひと安心。でも、中耳炎や肺炎など合併症があると、熱が下がりにくかったりいったん下がったのにまた上がってきたりします。数年前流行った新型インフルエンザは肺炎の合併症が多くて、何人も入院が必要になりましたが、今年のインフルエンザは、わりと軽症で元気な子どもが多かったようです。
マイコプラズマは咳がしつこいのが特徴で、1か月も続いたりします。熱も、高熱ではないのですが上がり下がりしながら1週間くらい続きます。マイコプラズマ感染には、マクロライド系の抗生剤が効くのですがこの数年、耐性菌が増えています。約30%までに増えているということです。耐性菌でなければ、薬を開始して48時間以内に、80%が解熱します。なので、二日後に熱型表をもってきてもらって判断し、効いていなければ薬を変えるのです。それなら初めから2番目の薬を使えばいいではないかと思われるかもしれませんが、そうすると2番手の薬までが耐性になってしまうので、そういう使い方は推奨されないのです。
熱型表はいつも家庭に常備しておいて、熱が出始めたらつけて、それをもって小児科を受診されるといいと思います。医者の方もとっても助かります!

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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