経皮感作って何?

アレルゲンが体内に入って、それに反応するとくべつな(特異的な、といいます)IgE抗体というアレルギーの抗体を作って持っていることを「感作」といいます。IgEをつくりやすい体質がアレルギー体質ですが、遺伝的にこの体質が強いと、なんでもかんでもいろんなものにIgE抗体を作ってしまう人がいます。でも感作されていることとアレルギー症状が出ることはまた別なのです。卵のRASTが高くても、食べても平気なひともいるし、ダニのRASTが高くても喘息も鼻炎も自覚症状のないひともいます。ですから、アレルギーの検査は、患者さんの症状や経過など、総合して判断することが重要で、そこで専門医の出番になります。
最近「経皮感作」といって、皮膚から食物アレルゲンが侵入してIgE抗体を作ることがわかって問題になってきました。米国で、ピーナツオイルでベビーマッサージをした乳児にピーナツアレルギーが多いと報告されたのが始まりです。日本でも少しまえに「茶のしずく」という石鹸でたくさんの使用者に小麦アレルギーが発症した健康被害が問題になりました。泡立ちをよくするために加水分解小麦を入れた石鹸を使っていると、小麦に感作され、食べるとアレルギー症状が出るようになったのです。
小学生の男の子で一時的にこれになった人がいました。もともとアトピー性皮膚炎はなく、ダニやホコリや花粉に感作されているアレルギー体質のつよい子でしたが、たまたまお母さんが友人からこの石鹸を1個だけもらって、浴室においておいたのです。泡がたっていろんな形ができるのがおもしろかったらしく、それで洗ったというより、遊んでいたらしい。1個だけだったので、期間は1か月もなかったといいます。ところがしばらくすると、今までどうもなかったのにうどんやパンをたべると顔が赤くなるようになりました。調べると小麦のIgE抗体が上がっているのです。でも半年くらい小麦をやめていると、IgE抗体はなくなって、またもとのように食べられるようになりました。明らかに経皮感作で、短期間で普通の皮膚でもアレルギー体質のきついひとはすぐに感作されるのだなあと実感しました。よくなってよかったけど。
ですから最近はアトピー性皮膚炎の赤ちゃんは早くから皮膚の治療をしようということになっています。湿疹のある皮膚はバリア機能が低下し、なんにでもすぐに感作されてしまうからです。
皮膚に直接つけるものには十分注意しましょうね。

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