ウイルスは生き延びたい・・・

台風やら低気圧やらつぎつぎに来て雨や風の多い9月でした。

熱で来院される患者さんはまだ多いですが、コロナはほとんどなくて、手足口病も下火になり、普通のかぜが増えてきました。普通のかぜというのは、特定のウイルスではなく、上気道炎もしくは咽頭炎をおこすウイルスで発熱、咳、鼻水などの症状をおこすものという意味です。熱がしつこく続き咳がひどくなるヒトメタニュウモウイルス感染も流行しているようですが、検査キットが手に入らず診断ができません。でも診断しても、ほとんどのウイルスには特効薬(抗ウイルス剤)はなくて、やることは同じ、対症療法なのですね。ちなみに抗ウイルス剤は、季節性インフルエンザと水痘・ヘルペスウイルスにはあります。新型コロナにもありますが、重症者に限られています。

ウイルス感染で重症者や合併症の起きる病気にはワクチンが勧められてきました。麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎は、乳幼児期に複数回接種することで感染を防げます。私が小児科医になった40年まえは、はしかの脳炎で亡くなったり、先天性風疹症候群やおたふくかぜの髄膜炎の患者さんは珍しくなかったのです。

でもさまざまなウイルスが、生体内で生き延びるためにいろんな形で変異しながら存在し続けます。今年は2年ぶりにインフルエンザも流行する兆しです。皆さんも気をつけましょうね。

熱だらけの夏

7月末から8月にかけて、子どもの発熱疾患がすごく増えました。もともと夏は、ウイルス性の発熱疾患が流行する時期ですが、今年はコロナ感染が混じっているので、普通の熱よりも防御体制が必要になりますが、話を聞いて診察してみないと、コロナか夏風邪なのかわからないし、検査もどれをするか決められない。ガウン、フェイスシールド、手袋など完全防備で診察するのはかなりしんどくて、人数が限られます。看護師の人数が確保されていればなんとか発熱外来をやっています。

夏休み入りたては、小学生のいきなりの高熱を調べるとほとんどコロナ陽性でした。保育園はいろいろ流行っていて鑑別が大変。RSウイルスは咳やぜいぜいがあると疑わしい。口周りやのどにぶつぶつがあって手足を見るとうっすらぶつぶつ。これは手足口病の始まりでほっとします。検査もいらないし悪化することもほとんどないからです。そのうち、旅行から帰ってきた夜に熱が出て翌日来院しコロナ陽性とか、お盆に実家に帰省して帰ってきたら発熱してコロナ陽性、というのも増えました。高熱は2日くらいありますがそのあとはみな元気に回復しています。

さて今週から2学期が始まりました。また集団生活が始まるとあちこちでコロナ感染が広がります。ずいぶんかかったことがある人も増えて集団免疫もあがってきていると思いますが、なかなか気を許せない2学期になりそうです。

声が出ません

7月になって、子どもの発熱疾患が増えたところに、新型コロナの感染が急増して、うちの診療も大変な状態になってきました。

RSウイルスは本来秋から冬に流行するウイルスでしたが、コロナ感染対策のせいか、2020-21年度は、RS もインフルエンザもほとんど流行がなく、ある一定の割合で維持されているウイルス抗体が激減したせいでしょう、大流行になりました。RSは夏になっても増加し、重症化する乳児では今季7-8人入院を依頼しましたが、どこの小児病棟も満床で、受け入れ病院を探すのが大変でした。

そのうちに子どものコロナ感染も増えてきました。一般外来で発熱を診ているとコロナ感染が紛れ込んでいる可能性があり、だからといって完全防備体制でずっと外来をするわけにもいかないので、今週から発熱の患者さんは時間と定員を決めて外来を区分しました。もともとコロナ検査をするための発熱外来ではなく、定期でくるアレルギーの患者さんや周辺のよく受診されるお子さん対象の発熱区分外来なので、初診の熱の患者さんはご遠慮いただいてます。

外来が忙しくなり、気を遣う熱の患者さんの診察・検査・診断が増えたため、医者もスタッフもぎりぎりで頑張っていますが、かなり限界にきています。私は先週末に熱ものど痛もないのに声が嗄れ始めました。外来でしゃべると悪化して声が出なくなります。あまりに続くのでコロナの抗原検査を2回、PCRもしましたが皆陰性でした。のどに感染するウイルスをもらって、しゃべると安静にならないのでよくならないということのようです。3日くらい黙って過ごせば治ると思うのですがこの状況でそうはいかないし。しゃがれ声で説明が終わると、患者さんの親御さんが、先生お大事に、と言って帰られます。どちらが患者かわからへん(苦笑い)。

スタッフも頑張ってくれています。なんとか、我々が感染せずに、診療が続けられたらと願っております。少々行き届かないところがあってもご容赦くださいませ。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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