2022年末

年末になりました。

12月、寒くなっていろんな感染症が流行しています。春から夏にかけて増えていったん落ち着いたコロナもまた増えてきました。株が変異して、感染力は強くなりましたが、重症化率は減っています。熱が1-2日あって、咳も鼻もなくて元気な子を調べるとコロナ陽性ということがよくあります。熱が続くとか、咳がひどいときは風邪のことが多いのです。コロナも抗原検査が出回って家庭で検査している患者さんも増えました。でも家庭での抗原検査は注意点がいくつかあります。抗原は十分なウイルス量がないと陽性に出ません。なので、熱が出て数時間とか、家族にコロナが出て念のため無症状時とかに検査陰性でも信用できません。熱が出て24時間以上たってから検査するか、医療機関でPCRをするかです。また、鼻の穴に棒をいれて検体を取るのですが、しっかりとらないとウイルスが十分量取れないので、家庭では子どもが嫌がって動いて、うまく取れないこともあります。

秋に流行したヒトメタニュウモウイルスは減りました。しかし、嘔吐、下痢、発熱などの感染性胃腸炎がすごく増えています。熱はないこともあるし、吐くのは半日程度なのですが、下痢がなかなか治らないようです。最近下痢便は持ってこずに写メでみせてくれるお母さんが増えたのですが、ウイルス検査は現物がないとできません。嘔吐が数日続く子を病院に紹介したのですが、浣腸して出た便を調べたらノロウイルスでした、ということもありました。

クリスマスにかけて寒波もきます。みなさま生活に気をつけて元気で年末年始をお過ごしください。めちゃ忙しい診療の真っ最中ですがなんとか28日最終日までがんばります。

こどもの鼻アレルギー

子どもの鼻アレルギー(アレルギー性鼻炎)は増えていますが、藤田医科大学の近藤康人先生によると、4つの問題点があるとのことです。

一つ目は喘息との関連です。ある研究で子どもの喘息の平均発症年齢は2.8歳、鼻炎は2.9歳とわかり、喘息と鼻炎の発症年齢分布はよく似ていました。また、小児期のアレルギー性鼻炎は、小児期以降にも喘息の発症を3倍以上リスクを高めることがわかりました。就学前のアレルギー性鼻炎はアレルゲン対策や治療をすることで喘息の発症を予防できる可能性があります。

二つ目はいびきとの関連です。中等度以上のいびきでは、アデノイド、扁桃肥大と並んでアレルギー性鼻炎が危険因子であることがわかりました。またスギ花粉症患者に、花粉症シーズンに眠れない理由をしらべると、鼻炎症状が第2位でした。これもコントールが大切です。

三つめは学業との関連です。英国で国家試験の受験生を対象とした研究で、花粉の飛散期と非飛散期で試験成績を調べると飛散期では成績低下の危険が1.4倍となりました。日本の受験期2-3月はスギ花粉飛散期なので心配ですね。

四つ目は食物アレルギーとの関連です。PFAS(花粉-食物アレルギー症候群)は、ある特定の花粉抗原に感作されると、交差抗原性のある食品によってアレルギー症状が出ることをいいます。カバノキ科の花粉症ではリンゴやモモを食べると口の中がかゆくなる口腔アレルギー症候群や、マメ科の花粉では豆乳アレルギーが新たに発症することが増えています。日本でのPFASの有病率は小学校では0.99%、中学校で2.75%だそうです。また、カバノキ患者全体の20-40%にPFAS合併がみられると報告がありました。

鼻アレルギーとわかったら、アレルゲン対策をして、症状をコントロールすることが快適な子どもの生活につながると思います。

ウイルスの病気

コロナ対象の発熱外来は閉じたものの、小児科外来の発熱患者さんは減らずに続いています。

今年は春から夏にかけてコロナ感染が蔓延しましたが、小児のあいだではいつもの感染症も、2年間流行がなかったぶん多いのです。RSウイルスは6月から増え始め7月がピークでした。乳幼児がかかると重症化したり肺炎になったりして入院が必要になりますが、当院では6~8月に12人が紹介入院となり、9月にも2人入院。10月からは熱がだらだらと5~7日続き咳がひどくなるヒトメタニュウモウイルスが大流行です。RSほど重症化はしませんが、熱が続く分何度も来院される患者さんが多く、保育園も1週間くらい休むことになります。検査キットが品薄なので全員の検査はできませんが、熱型と症状の経過でだいたい診断がつきます。患者さんはたくさんいますが、これだけ多いと重症化して入院した方も今まで4人います。RSもヒトメタニュウモもウイルスで、診断がついても特効薬はなく、対症療法しかないのです。よくなるまでしっかり支える治療体制も必要です。

そもそもウイルスはたくさんありますが、抗ウイルス薬があるのはわずかです。インフルエンザは特効薬があるので、検査で診断がつけば薬で発熱期間を減らし症状を軽くすることができます。まる2年間流行がないので、今年は大流行が予想されています。水痘・ヘルペスウイルスにも薬があります。新型コロナにも薬が開発されていますが、今は重症の場合にしか使用できません。

インフルエンザも新型コロナも、6ヶ月からワクチンが打てるようになりました。本当にどれだけ必要かは別にして、ウイルス感染の予防にはワクチンが有用ですので子どもたちにも行き渡ってほしいです。

 

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

Copyright © KAMESAKI Kodomo・Allergy CLINIC All Rights Reserved.