アレルギーって??

私は小児科医でアレルギーの専門医ですから、こどもの普通の病気も診ながら、アレルギーの病気を主に診断・治療しています。
アレルギーとひとことで言っても、いろんな病態があるのですが、患者さんの皆さんが使っているアレルギーという言葉は、なんかよくわからない、なかなか治らない、体質的なものなので治らない、というようなニュアンスが含まれているように思います。鼻水がつづくから、アレルギーかしら、花粉症ですか、とか、咳が続くからアレルギーと思うとか、皮膚にぶつぶつやかゆみがあるのでなんのアレルギーか調べてください、とか。医者のほうも、原因がはっきりせずに長引く咳や鼻水やかゆみがあるときに、アレルギーかも、というと患者さんが納得するので、なんか逃げ道みたいに使われることもあります。
アレルギーの代表であるⅠ型アレルギーは、アレルゲンに対するIgE抗体を持っていて、それが働いて症状がでることで診断できます。
鼻水やくしゃみの、炎症のともなわない慢性症状に、ダニや花粉の抗体値の上昇があれば、アレルギー性鼻炎の可能性があります。ダニやイヌの抗体値が高い子が、ほこりっぽいところやイヌのいる家に行って咳をしたりぜいぜいしたりすれば、ダニやイヌのアレルギーによる喘息でしょう。しかし、風邪の鼻水が長引いて、鼻のかめない小さな子が副鼻腔炎になって長期化することもあるし、まったくアレルギー体質のない子でも、気道が過敏であれば喘息になるのです。
アトピー性皮膚炎については、最近はアレルギーの関与が少ないことが分かってきています。アレルギー体質があって、皮膚が過敏なひとにアトピー性皮膚炎が起きやすいのは確かですが、卵や乳やダニの抗体価が高くても、そのせいで皮膚の湿疹やかゆみが起きているとは限りません。皮膚の乾燥や、温まることや汗でかゆみは起こりますし、皮膚の擦れ合う場所や、乳児がよだれや指しゃぶりがあると口の周りなどに湿疹ができることもあるし。皮膚の中の炎症が続けば、ちょっとしたことで赤みもかゆみも繰り返すので、ちゃんとステロイドを塗って皮膚の炎症を治すことが治療の第一歩です。
よく、じんましんが出るので原因を調べてほしいと来られる患者さんがいらっしゃいますが、アレルギーの検査で原因がわかることはほとんどないです。子どもで多いのは、感染症で免疫状態が変わっているとき、体調が悪いときで、あとは温暖じんましん、寒冷じんましんという温度差によるもの、汗や運動や、掻くことによって出るものなど、皮膚そのものへの刺激がじんましんを起こすのです。
そういうわけで、アレルギーや病気の仕組みについて説明してると時間がかかります。患者さんの多い時期になっています。お待たせしたり予約が取れなかったりしてすみません。休み返上で頑張っていますのでご理解ください。

風邪ひきQUEEN

年末から流行していたインフルエンザが、1月半ばから猛威をふるっています。
予防接種はそれなりに効いているようで、やっている子はかかっても軽くすんでいるようですが、とにかく感染力が強いです。乾燥の強い季節のせいもあります。家では加湿して、手洗いをしっかりしましょう。
私も、年末風邪が長引いた話を先月しましたが、1月になってもまた風邪をひいて、先週の火曜日には声が出なくなりました。外来でずっとしゃべっているので、のどがすぐやられるのです。木曜は休みなのですが、午後に豊中のこども園・保育所の職員向けのアレルギー研修が入っていて、2時間しゃべらねばならなかったのであせりました。急遽水曜午前の小児科一般の外来を休診にしました。医者になって35年、自分の体調で仕事を休んだのは初めてでした。山ほど薬も飲んで、直前には懇意の耳鼻科の先生にのども診てもらって、なんとか研修の講演はうまくいきました。風邪にはほんとは休養が一番で、そのあと仕事以外はくうたら家で過ごしてなんとかよくなってきています。マスクしてしゃがれ声で外来をしていると患者さんの子どもたちのほうが元気で、お母さんが、「先生、風邪ですか、お大事に」と言ってくれます。ほんとにどっちが患者かわからないですね。ご心配おかけしてすみません。
年末から、QUEENのライブ映像にはまっています。英国の伝説のロックバンドで、伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」が世界中で大ヒットしており、日本でも興行収入が100億円を超えたそうです。学生時代QUEENは好きでしたが、当時ネットもなくミュージックビデオも出始め、レコードからテープの時代、田舎の学生では本物を見るチャンスはありませんでした。大学生の息子が映画を見てよかったよ、ぜひ見て、と逆輸入。映画を見た後、改めて昔のライブ映像を見て、あの時代のこのバンドのすごさがわかって、今めちゃはまってます。武道館のライブに行きたかったなあ、1975年!まあいくつになってもいい音楽はほんとにいい。再発見できてよかった、と思う今日この頃です。

医者が患者の立場になると

今年の診療も無事終わりました。

最後の1週間は、大丈夫かな、よくなるかな、お正月元気で迎えられるかな、と案じていた喘息の発作の子、熱の続いていた子、咳のひどかった子たちがたくさん受診されました。でも何とか皆快方に向かって、ほっとしました。

私はもともと丈夫なほうで、大きな病気をしたことがありません。お産以外で入院したことがないし、医者になってから、自分の病気で仕事を休んだことがありません。インフルエンザワクチンがなかったころから、インフルエンザにかかったこともないし、あほみたいに頑丈だと言われてました。なので、病気やけがで、どこのお医者にかかろうと悩むこともなかったのです。

それが年を取るとそれなりに不具合が出てきました。去年は、ばね指といって右手親指の腱鞘炎が続いて、指1本の不具合だけで肩までこわばって、字を書くのも料理をするのも不自由でした。整形外科でも指の専門医を探して受診したら、その場でステロイドの注射をしてくれて、だんだん良くなってきますよということだったのですが、ほんとに時間を巻き戻すように痛みと運動障害がよくなってきて、先生が神様みたいに思えました。今年の秋は風邪が長引いて、途中で結膜炎になって、自分で出した目薬が適当か確認したくて眼科の先生を探しました。夜の咳がひどいとき、これは内科的な咳か鼻症状からのものか悩んだあげく、耳鼻科の先生を探して受診しました。ここでは素性がばれて、子どもの鼻症状からの咳をどう考えてどの薬からアプローチするかの議論になり、小児科と耳鼻科の立場の違いが分かって面白かったです。

いや、病気になったり体調悪いと、お医者にかかるのって、患者さんは気も使うし、緊張するものなのですね。私は、自分の専門範囲内で検査・診断し、なるべくわかりやすく解説し、治療を提示し、やり方については詳しい指導を看護師にも手伝ってもらって、患者さんに納得してもらおうと思って仕事をしていて、それが普通だと思っていますが、患者さんの立場になって初めてわかることもありました。

今年も子どもたちの成長がうれしかったです。泣かずに採血がんばったよと目を輝かせて報告してくれた5歳、全国のそろばん大会で優勝した9歳、ラグビーで全国大会に行く12歳、泣かずに診察させてくれてお口あーんできる2歳、似顔絵付きのお手紙をくれる6歳・・・・みんな、私の仕事の原動力です。ありがとう。

来年もみなさまにとっていい年になりますように。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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