春はきたけど

3月も終わりになり、桜の開花や卒業、進学、新学期の、本来なら春の心躍る季節なのに、新型コロナの蔓延のおかげでなんとも気の重い毎日です。
突然の休校から春休みに至り、家で過ごす子どもたちや親たちは、ずいぶんストレスが溜まっていますね。でも受診する皆さんに聞くと、上手に家での時間を普段できない遊びや勉強に使っているご家族もいて、お父さんやお母さんの子どもたちへの向き合い方に感心することも多いです。家でしかできない、家族でしかできない過ごし方、各ご家庭で考えてみませんか。
感染の予防には、手洗い・消毒です。そして、密集した、換気の悪い、人同志の接触の近い環境を避けること、ずっと報道されているとおりです。この時期、検査結果の説明や食物アレルギーの食べ方の指導など、子どもたちの診察に加えて親御さんたちとのお話が多くなるので、当クリニックでも感染予防に気を使っています。患者さんたちもこの時期あまり病院に行きたくないでしょうが、アレルギーの管理指導表はいるしねえ。でもずいぶんよくなって、除去食解除も多くなり、うれしいです。花粉は今年は少なく、休校のせいか、外にいる時間も減っているのか、花粉症の症状は軽めです。
世界的にパンデミックになってしまった今、どういう風にコロナが日本で変化していくのかまったく見通しが立ちません。でも皆さん、自分でできること、子どもたちにしてあげられることを地道に続けて、本当の春がくるのを待ちましょう。

新型コロナウイルスの春

新型コロナウイルスの拡大が脅威となっています。大阪では初期の感染例1例のみの発症ですが、この例がいったん治ってウイルス陰性だったのに症状が再燃してまた陽性になるというなかなか怖いことになっていました。新しく流行するウイルスは、その感染の仕方やその程度、潜伏期や、重症化する頻度などまだわからないので、その未知の部分が人を不安にさせるのです。また、厚労省や内閣府の初動もどうかと思う点も多く、もっと感染症の専門家を動員して早くから機動的に効率的に動けなかったかと思います。

来週から全国の学校が休校になるようです。子どもたちの安全のためですが、個々の生徒・学生たちも家庭も大変です。

自分に風邪症状があれば他人にうつさないためにマスクは必須ですが、この時期、症状があれば家で療養が第一です。人からうつらないためには手洗い・アルコール消毒が有効です。石鹸は泡立てて、指一本ずつ洗い、指の間も手の甲も、30秒くらいかけてしっかり洗いましょう。手の触れる場所には手からウイルスが移りますので、手洗いは帰ってすぐにしましょうね。

また年度末の園や学校の書類の時期です。患者さんが殺到していますが、どうしてもひとりひとりに時間がかかるので待ち時間が長くなったり、アレルギーの予約外来が満杯になっています。よろしくご理解ください。

移行期医療は子どもから大人への橋渡し

最近小児科領域では、「移行期医療」ということが問題になっています。小児科から内科へ、年齢によって担当する科や医者が移行するときの病気の治療をどうするかということです。

小児科は、基本、生まれてから15歳まで、中学生までの子どもを診ることになっています。なぜ大人を診る内科と区別されているかというと、子どもと大人では病気の種類が違うし、同じ病気になっても症状や経過や薬の使い方が全然違うのです。しかし、15歳になったらはい、こちら、という簡単なものではありません。風邪や胃腸炎など、急性の一過性の感染症であれば年齢で分けてもいいでしょうが、小さいころから慢性の病気で大きくなっていく子も増えてきました。

私の専門領域であるアレルギー疾患は遺伝や体質がベースになることが多いので、軽くなることはあっても完全に治ることは難しいことがあります。アトピー性皮膚炎では保湿しないとやっぱり湿疹が出る、とか、喘息も日頃はいいけどマラソン練習で距離が増えると発作が出る、とかがよくあります。

アトピー性皮膚炎は最近では乳児期からしっかりプロアクティブ療法で治療すると、本当によくなります。でも、1~3歳から発症するアトピー性皮膚炎はしっかり塗るのも大変で、保湿も毎日全身にするのも大変です。小学生の低学年くらいまではお母さんが一生懸命塗りますが、10歳ころから中学生になると、親がいくら塗ろうとしても本人が嫌で拒否すればできず、けんかになるばかりでうまくいきません。特に男の子は中学生くらいになるとお母さんに裸で塗ってもらうなんて嫌でしょう。先週も、中学生の男の子と小6の女の子、重症のアトピー性皮膚炎ですが、親の心配をよそに、めんどくさい、とかべたべたするからいやだと言って塗らず、親とケンカ状態で受診しました。なので、医者は、子ども本人と話さないといけないのです。どんな病気なのか、しっかり治療しないと将来どんなに大変か、塗るのは嫌でも最低限ここだけこれだけは塗ろう、という折り合う点を見つけて自分で塗る約束をしました。

気管支喘息も、軽い子は6歳くらいまでによくなって薬をやめることもできるのですが、先日参加した移行期医療の研究会で呼吸器内科の先生の話では、小児喘息で治ったと思っていた群の中で半分くらいは大人になって再発するのだそうです。私も長い間喘息の治療をしていて、6歳になって呼吸機能が正常でないと、薬なしでは再発したり、運動することで発作が起こる、という子が多いことを実感しています。小学生の喘息治療は毎日のステロイド吸入ですが、それも親が言わないとやらない、と親子でケンカしながら受診するし、発作があったかどれだけの症状だったかお母さんがしゃべる横でふてくされている反抗期男子も多いのです。

私どもは、親と話すのでなく、9-10歳以降になれば子ども本人と話して、自分の病気を理解する、治療の必要性を理解する、治療を自主的に自分で行う、というように医療をしていかなければならないのです。なかなか時間もかかり根気のいることですが、意識して子どもから大人になる子どもたちに向き合おうと思います。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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