いくつになっても恐竜ガール

先日の休みに、東京上野の国立科学博物館でおこなわれている「恐竜博2019」に行ってきました!恐竜はもとから大好きです。だってあんな大きないろんな、今はない形の生物が、かつてこの地球上に、しかも1億7000万年ものあいだ繁栄していたって、すごいじゃないですか?それがいろんなところで発掘され、研究され、新たなことが証明されていく、というのは科学としても興味深いけど、探検のようなわくわく感があります。北海道大学の小林快次先生の、「恐竜まみれ」(新潮社)という本が面白くて、恐竜学者の発掘現場の実態がよくわかります。お勧めですよ!

今回の展示の目玉のひとつは、日本で初めて北海道のむかわ町で発掘された、新種の恐竜の全身骨格です。アマチュアの化石好きのおじさんが見つけた尻尾の骨が、海の地層から発見されたから、ワニかなにかと思われて7年も地元の博物館の倉庫に眠っていたのです。それを、東京から来た古生物学者の先生がこれは恐竜の骨だと確定、北大の小林先生が指揮を摂って、全身の骨格を掘り出しました。予算もいるし、人手もいるし、発掘事業は大変ですが、8年かかって全身の骨の88%を掘り出しクリーニングし、今回全身の骨の展示となったのです。地上にいた恐竜が死んで海に運ばれそのまま海の地層に化石として残ったという、当時の状況を予想しながらあるはずの骨を探り当てる過程が本に書かれていて、すごくおもしろかったです。ちなみにこれはむかわ竜と呼ばれていましたが、このたび「カムイサウルス」と学名が決まりました。

もうひとつの目玉は、モンゴルで50年かけて全身がそろった大型の新種恐竜、「デイノケイルス」です。恐竜発掘の国際チームで、これに小林先生も参加しているのですが、初めは腕が2.4mもある骨が出てきて、どんな恐竜かとわくわくしていたんですって。その全身骨格の本物が展示されていましたがその見上げる迫力!全身11mもあります。でもCGで再現されると、ちょっと笑っちゃうようなおちゃめな風貌。どう猛な肉食恐竜ではなく、草を食べていた証拠の胃石も見つかっており、手は大きいけど口はカモノハシのようなくちばしで、背中にはスピノサウルスのような帆を背負い、毛におおわれて今まで見たことのない新種の恐竜です。そのほかにもいろんな恐竜の展示があり、CG画像で恐竜世界を楽しめたり、めっちゃ楽しい空間で、おばさんひとりで興奮していました。周りは子供連れもシニア夫婦もいたけど、誰が見ても面白いと思う。いくつになっても恐竜ガールします!

恐竜の骨はいろんなことを教えてくれます。恐竜は6600万年前に絶滅したといわれているけれど、実は進化して鳥として現代にも生きているし、恐竜の生きた時代にくらべれば人類なんてほんのちょっとの新参者。しかもこの100年で、戦争だのテロだの、温暖化や森林伐採による環境破壊など、人類は発展しているように見えて自分たちで滅亡に向かっている。それも大きな自然の経過なんでしょうが、何万年も生き延びないと思うなあ。

花粉関連の食物アレルギー

花粉症の患者さんが増えるにつれ、花粉からくる食物アレルギーが増えています。ある花粉に感作されている(IgE抗体を作ってもっている)と、その中の特定のタンパク質によく似たタンパク質を持っている果物や野菜にアレルギーを持つようになる(交差反応という)のです。多いのは、シラカバやハンノキの花粉症で、リンゴやモモを食べると口のなかがかゆくなる、違和感がある、というもので、口腔アレルギー症候群(OAS)と言われます。それ以外にもいろいろ報告され、花粉関連の食物アレルギー(PFAS)といわれるようになりました。

 今年の6月小学生男子が、ときどき学校給食を食べた後蕁麻疹やかゆみの症状が出るのですが原因がわからないので、専門医である当科に相談に来られました。献立はいろいろですが、カレーが多いのに気づきました。でも家ではカレーを食べているとお母さんは言います。よく聞くと、花粉症があり、検査をするとスギのみならず、ヨモギの感作も重症でした。ヨモギの花粉と交差反応でセリ科のスパイスアレルギーの報告があったことを思い出して調べてみました。市の教育委員会の栄養士に問い合わせると、給食のカレーはE社のカレー粉を使っており、いろんなスパイスが混ざっていました。スパイスの検査は血液検査にないので、プリックテストといって、直接食品を皮膚につけてひっかくことで反応を見て証明するしかありません。E社に連絡して、スパイスを提供してもらうことができました。小学生に夏休みに来てもらって彼のプリックテストをすると、たくさんのスパイスのなかで、セリ科のスパイスであるクミン、コリアンダーに陽性でした。食べてかゆいといっていたアスパラガスも陽性で、これもヨモギ花粉と交差するのだそうです。そのほか、セロリ、ニンジンなども症状がでる可能性もあります。ちなみに家のカレーはG社のお子さまカレーで、あまりスパイスが入っていないのでした。この例も花粉関連の食物アレルギー(PFAS)です。

 食べるのは毎日のことなので、アレルギーの原因食品を確定するのは大切なことです。この小学生も原因がわかると、給食を全部やめる必要はなくなりました。こういう患者さんが増えてきて、ずいぶん頭をひねったり調べたりしますが、無事診断がつくと私もほっとしてうれしくなります。

和歌山にて

週末、和歌山で行われた日本小児臨床アレルギー学会に行ってきました。行くときは台風が来ていて大雨でしたが、途中で和歌山はそれたようです。小児科のなかでもアレルギーを専門にやっている医者、看護師、栄養士、薬剤師、教師など多職種の集まる学会です。

私と同じく、アレルギー専門の小児科を新潟で開業している田中先生の発表は、乳児で湿疹があると3か月から卵の感作が出てきて月齢がいくほど進んでいく、というものでした。だから早くからステロイド外用で湿疹をよくしないと卵アレルギーになっていくということを強く主張できるのです。まさに、私が実感し、検査をして感じていることでした。これをちゃんとまとめて報告する彼は偉いです。病院勤務の専門医は、2-4か月の乳児の湿疹を診る機会は少ないのです。よほどの重症でなければ、患者さんは近くの小児科診療所に行くからです。でも専門医でなければ検査はしません。アレルギー検査は高額なので小児科の包括医療をしていれば赤字になるし、なにより、その時期のアレルギーの検査値をどう評価したらいいか経験がないからです。私もみんなに検査をするわけでなく、早くから湿疹の治療をして、離乳食開始まで症状がよくならなければ、ご家族と相談して検査をしています。検査値によって、根拠を持って薬の使い方や離乳食の計画を立てることができるのです。

羽曳野医療センターからは、長引く食物アレルギー児の予後の発表がありました。6歳以降でまだ卵・乳・小麦の除去をしていた子でも、8年後(高校生~大学生になるころ)に調べると、卵で68%、乳で66%、小麦で80%の子が、摂取できるようになっていたとのことです。当科にもなかなか食べるものが増えていかない重症の食物アレルギー児がたくさん来ていますが、気長に成長を待ちながら食べ続けましょうね、と患者さんやご家族をはげませるようなデータでした。
台風が去って週があけると猛暑です。暑さに負けずにみなさん頑張りましょう。

夏休みでたくさんの患者さんの予約が入っていますが、午前中の小児科外来も満杯で、待ち時間が長くなり、予約時間もずれ込んでいます。休み時間ゼロで診療しなるべく待ち時間を減らすように努力していますが、患者さんへの説明は省略できません。当科専門性をご理解いただきご了承ください。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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