夏のコロナ、夏の皮膚

7月も終わりですが、今年は学校の夏休みは延期になり、まだ通学している子どもたちが多いですね。園や学校が始まって集団生活になると、いろんな感染症が流行ってきました。鼻水が長く続く上気道炎、熱がぽんと上がって1-2日で下がる咽頭炎が多いですが、最近下痢・腹痛の胃腸炎もぱらぱらあります。皆軽いです。高熱が続くアデノウイルスやプール熱はまだ見かけません。マスクや手洗いで、ほかのウイルス感染も抑えられている可能性があります。

全国的にコロナ感染も増えて深刻な状況ですが、春の頃と違って政府も行政も緊急事態宣言は出さず、なんとか経済を回そうと、外出・宴会の自粛の「お願い」のみです。GO TO トラベルもしながら。矛盾しているなあ。医療崩壊は目の前で、早晩重症者は増えてきます。医療従事者の負担や、病院の経済的損失も増えるばかりです。政府は使えないマスクをまだ配るのだそうです。その247億円は医療にまわしてほしい!子どもに関しては、重症はほとんどなく、無症状者も多く、子どもたちの中だけの感染もほとんどないということがわかってきました。最初に学校の一斉休校から始まったのはまったく科学的根拠がなかったわけです。誰が言ったのかしらんけど。日本の政治ってなんの根拠に基づいてだれが責任をもってやっているのでしょう?

外来では、夏の暑さに伴って、あせもや掻き壊しやかゆみや虫刺されなど、皮膚の訴えが増えてきました。アトピー性皮膚炎の患者さんにとっても夏の暑さや汗は悪化因子です。外でもまめに汗を拭いて、外から帰ったらシャワーで汗を流して、おむつや服はまめに着替えさせましょうね。髪の毛もおでこや耳や首にはりつくとかゆみを増します。散髪をするか、髪の毛をあげて風通しをよくしましょう。ちょっとした工夫でかゆみを減らすことができますよ。

マスクいろいろ

6月になって園や学校が始まると、いつものように発熱やかぜや、夏によくはやる胃腸炎など子どもたちの不調で、患者さんが増えてきました。長いステイホームから生活が変わって、精神的にしんどい子どもたちも増えています。

街にも電車にも人は戻ってきましたが、生活は前のようではありません。多くの人がマスクをしています。今からの暑い時期に熱中症が心配です。マスクは自分の唾液から人への飛沫感染を防ぐために有用ですが、自分が感染しないようにするためには顔全体を覆うフェイスシールドでないと効果がないそうです。やはり密を避けて、手洗い・消毒をまめにするのが感染防止にはいちばんです。

日本で感染者も死者も少なくすんでいる一つの理由に、マスクをすることに抵抗がない国民だからという説があります。欧米では医療関係者以外、一般の人がマスクをして歩くことはありません。それについて興味深い話を読みました。日本では、感情を表現するのに目を重視して、目元で感情表現をすることが多く、「目は口(言葉)ほどにものをいい」ということわざもあります。ところが欧米では、感情表現は口元でするもので、だから口元を隠していると怪しい、顔を見せたくない、犯罪者か?と怪しまれるのですって。目と口であらわすニコニコマークも、欧米のものは口の部分が大きく表現され、目はてんてんだそうです。そういえば、日本では、人がマスクをしていても、花粉症かかぜかな?と思うだけですが、黒いサングラスをしているほうが、怪しい、やくざか?顔を隠している、と思いますよね。欧米ではマスクが怪しい奴で、サングラスに抵抗なし。文化の違いというものは面白いものです。さすがにニュースで見る最近の欧米の街はマスクをしているひとが増えましたが、潜在的にマスクに抵抗があるとないとでは、感染予防に大きく差があるのもうなずけることです。

マスクも一時の品不足が解消されてきて、最近は夏用とか涼しいものとか、機能やデザインにこだわるものが増えたようです。患者さんの親子も、いろんなデザインのかわいい手作りマスクが楽しいです。私は外来で、たくさんお話しすることが多い立場なので、紙のマスクでは、話しているうちに息がしにくくなり、患者さんが診察室を出て行かれるたびにマスクをとって大きく深呼吸しています。むかしダイビングで、海から上がって水面でぷはーと大きく息をした時のようです。そもそもマスクをしてたくさん話す、ということは想定されてないのです。最近ポリウレタン製のマスクを使ってみたら、鼻と口に空間があって、あまり苦しくなりませんでした。百貨店には、絹仕様の軽くて、涼しい手作りマスクも売っていました、高かったけど。それにしてもアベノマスクには腹が立つ、皆さん、使えてますか?200億円以上の税金であのマスクでっせ?

とにかく、マスクとともに過ごす夏になりそうです。

食物アレルギーは食べて治す

小児の食物アレルギーは年齢とともにだんだんよくなって食べられるようになることが多いのですが、どういうものをどのくらい、どんなふうに食べていくかは、専門医の指導が必要ですし、重症の患者さんほど、いろんな食品知識や食べていくための工夫が必要です。

何年もかかって、少しずつ食べていく治療(経口免疫療法)をしている重症の患者さんたちとは長いお付き合いをしています。週に3回くらい食べ続けなければいけないし、重症児はときどきアレルギー反応を起こすこともあるし、実は食べられるようになるために食べ続けることは、本人にとってもですが、お母さんをはじめとしたご家族も大変なご苦労です。途中でやめてしまう患者さんも少なくありません。まあ、食べられなくてもいいという考えもひとつです。

でも、赤ちゃんの時あんなひどかったのに!というお子さんが小麦、卵、乳と食べられるようになっていくと、本当に、君もお母さんも頑張ってるねえと表彰状をあげたいくらいです。食べられるようになっていく患者さんたちの共通点は、お母さんが熱心にもしくは淡々と続けてくれることです。週に3回、毎回食材を用意し、食べさせて2時間観察するのは日々の生活のなかで大変な負担ですし、ときに症状が出て救急に行くようなリスクもありながら続けていくのには、強い意志と、医療者との信頼関係も必要です。

T君は今9歳。乳幼児期は卵乳小麦のアレルギーがあり、除去をしていました。4歳の時うどん2.2gの負荷試験で咳と蕁麻疹がありました。でも半年後、同じ2.2gで症状なく、そこからうどんを増やして、1年10か月で小麦除去解除。6歳で卵黄から開始し、卵も増やし、8歳でかきたま汁やマヨネーズも摂取できるようになりました。乳がいちばん大変でしたが、7歳で、乳たんぱくのちょっと入った食パン超熟の負荷試験から始まり、8か月後には牛乳を開始できるようになりました。牛乳90mlでアナフィラキシーを起こしましたが、お母さんはひるまず、いったん量を減らしてまた増やしていき、2年かかって、とうとうこの春牛乳200ml飲むことができました。この間、症状が出たり、本人が怖がって食べたがらなかったり、お母さんは大変だったと思いますが、本当にまじめで熱心なお母さんで、やめることなくぶれることなく、何度も食べ方を相談に来られ、安全でやりやすいやりかたをともに模索した5年間でした。食べていくとアレルギーの検査値も改善し、とうとう給食はこの秋には除去解除にできそうです。エピペンももう不要ですね。

食べたがらない、怖がって嫌がる子どもたちも、医者である私が説明して励ますと、食べるのに挑戦してくれることもあります。子どもたちやお母さん、ご家族の立場に立って、食べていける、よくなる食物アレルギーの治療にとりくんでいます。みんな、がんばろうね!

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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