ぜんそくの落としあな

10月になって急に気候が変化し、朝夕冷え込むようになり秋らしくなりました。こうなると風邪も増えてきて、また、喘息発作のシーズンでもあります。第2週の週末は大きな台風が来て気圧が変化したことにより、今まで調子よかった患者さんでも発作が増え、クリニックでも発作吸入が増えました。また今週は、今まで長期管理(発作予防の継続治療)を受けていない子が初めて飛び込みで受診され、大発作になりかけていてそのまま救急車を呼んで入院になったこともありました。

アレルギー専門小児科医でないとあまり知られていない、喘息についていくつかの落とし穴があります。

(1)喘息かどうかの診断です。ぜいぜいいうことが3回以上あれば喘息と診断し長期管理を開始する、とされていますが、小さな子のぜいぜいと喘息の呼気性喘鳴は慣れていないと区別がつきません。また、初めての喘息発作で入院した子は100%また発作を起こしますから退院時から長期管理を開始することをお勧めします。初診で救急車で入院になった子も、数か月前喘息で入院したのですが長期管理なく、発作がおこると夜の救急で吸入を繰り返し、だんだん悪化したという経過でした。

(2)風邪をきっかけに喘息発作が起こることが多いのですが、小児科の風邪薬では咳止め、鼻水止め、去痰剤の3種組み合わせが普通です。親御さんは咳がひどいので咳止めをくれ、とおっしゃいます。喘息のない子の普通の風邪ならいいのですが、喘息発作のある時の咳止めは禁忌です。これはガイドラインにも書いてあります。喘息の時の咳は、気管支が狭くなって痰を出そうとしているので、咳を止めてしまうと痰がつまって悪化します。気管支を広げる薬が必要です。咳止めでも、アスベリンくらいならまだいいのですが、メジコンはやめてください、ほんともう。

(3)よく「咳止め」といって貼るテープを出されますが、逆にこれは咳止めではなく気管支拡張剤で喘息発作時の薬です。喘息でないひとに貼ってもあまり害はありませんが無効です。また、「ホクナリンテープ」という先発の薬は徐放剤といって、貼ってからゆっくり吸収されて効いてくるので、発作時に寝る前に貼ると夜中薬が効いているのでよく眠れるという効果があります。しかし後発品の「ツロブテロールテープ」は同じ薬がテープに入っていますが、先発品のようにゆっくり放出される効果がないので、貼ってすぐ効いて、そのあとは効果がうすれてしまいます。最近はなんでも後発品を選ぶ時代ですが、このテープをほんものの喘息の患者さんが使う場合は後発品は避けてください。

私が医者になった頃はいい薬がなく、喘息の重症児が入院すると一晩付き添って吸入や点滴や酸素投与をしていたものでした。今は喘息の子も治っていくことが多いです。ちゃんと長期管理をして発作を予防し、遊んで運動して食べて眠れる普通の生活をしましょうね!

オンライン診療って???

新型コロナの流行で、世間ではテレワークやリモート会議が普及し、働き方もいろいろ変わったように言われていますが、私どものような医療関係ではあまり関係ないですね。非常事態宣言のころ、通勤電車も駅も人が激減しましたが、私は変わらず遠距離通勤をしておりました。診療所に行って、患者さんに会って診察しないと始まらないのです。

最近オンライン診療を進める動きが高まっています。医療機関に直接行かず医者とパソコンの画面上で話をして薬をもらったりできるので、患者さんにとっては都合がいいかもしれません。でもこれは、大人(内科)の、診断のついた慢性疾患で病状が安定している場合に限られると思います。最近では初診でもオンラインが認められていますが、初めての患者さんに直接会わず診察もせずに診断するなんて、私は医者としてすごく不安ですね。

子ども(小児科)は、一般診療では、6-7割が感染症です。発熱、風邪症状、胃腸症状などです。感染症の種類によっては高熱が続くこともあるし、風邪症状から気管支炎・肺炎になることもあるし、嘔吐が続いて脱水症になることもあるし、子どもの病状は日々変わります。よくなるのも早いけど、1日で悪化することもあります。直接診察して、どこに異常があって、どのタイプの感染症か、重篤な合併症はないか、ということを診断しないと、たかが風邪でも責任はもてません。診察室に入ってくる動きや顔つきで、子どもの心身の状態がわかることも多いのです。

というわけで、小児科ではオンライン診療はできないと考えています。当科はアレルギー専門なので患者さんの7割がアレルギー慢性疾患です。慢性疾患とはいえ、アトピー性皮膚炎は悪化することも多く、直接診たほうがいいし、喘息も、発作ありませんと言われても実際に診察すると、喘鳴があったり呼吸機能が落ちていたりします。何より診療所に来られる患者さんの対応でいっぱいで、パソコンの前に座ってゆっくりお話しする時間は取れないのが現状です。もっともパソコンとかITとか苦手なんですけど。

診療所はコロナ対策をしています。なるべく人が密集しないような予約体制もとっています。変わらず子どもたちの健康のために仕事をしたいと思います。

暑い暑い夏

新型コロナもまだ流行中のうえに、8月はこのものすごい暑さです。通常ならお盆を過ぎると朝夕涼しくなるのに、今年はいっこうに夏が終わりません。豊中市では小学校の夏休みが短縮されて、8月7日まで授業があり、朝8時過ぎ、もうすごく暑い中で子どもたちが列を作って集団登校する姿がちょっとかわいそうで、熱中症を心配しました。2週間の夏休みが終わって今週からまた学校開始ですが、まだまだ暑い中、子どもたちの体力のみならず精神面が心配です。長いステイホームのあと、始まった集団生活で、不適応だったり精神的に不安定だったりうつ気味だったり感情の起伏が激しかったりという子どもたちが少なからずいるようです。悩んだり心配したりするお母さん方もいらっしゃいました。大人でもこの半年間の状況はつらいですよね。子どもたちはなおさらです。いちばん、人と接して触れ合って社会性やいろんな気づきを学ぶ時期に、ソーシャルディスタンスってねえ。

夏の感染症も今年は少なかったです。あともうすこし、暑さをしのいでなんとかがんばりましょう。今のようなコロナ感染対策をしていると、実はほかの感染症対策にもなっていて、この冬インフルエンザもあまり増えなければいいなと思います。10月からインフルエンザは予防接種が始まる予定ですが、いつからどのくらい入手できて開始できるか、まだ未定です。決まりましたらHPでお知らせしますね。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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