今月の独り言
夏の終わりに台風
暑い夏に、地震や災害が相次ぎ、最後は台風10号です。強力な台風ならばじっと通り過ぎるのを待つしかないのに、じっとして動かない。自転車並みの速度ですって。ずっと南の海上から進んできて九州にゆっくり近づき、やっと上陸したところです。8月最後の週末はもう台風が過ぎて涼しさを期待する予報だったのに、1週間以上も日本全土をまるでもてあそぶように雨風で覆ってきています。みんなが振り回されているよー。
さて、気に入ったテレビドラマを毎週見ていますが、今フォローしているのは皆医療ものです。
「ブラックペアン2」は、もともと海堂尊の小説で、四半世紀前に好きで読みました。映像では、天才心臓外科医の手術シーンがよく撮れています。二宮和也が怪演!
「新宿野戦病院」は、さすが宮藤官九郎の作品。歌舞伎町の雰囲気も出ているし、ベテラン俳優が大勢個性的な役柄を演じています。中でも小池栄子演じる元アメリカ軍医の外科医、英語と岡山弁でのセリフがおもしろい。無茶苦茶な救急医療だったのが、だんだんなんか進歩している。
「マウンテンドクター」は、山岳医という、登山の場で遭難や救急医療にあたる医者が主人公。杉野遼亮はかっこよすぎるなあと思ったけど、まじめに患者に向かう姿がいい。きれいな山の風景も見ていて気持ちがいい。急変もするけどね。
どれも医療もので医者が主人公ですが、心臓外科も民間救急外科も山岳医療も、知らない世界です。長いこと小児科医だけしてきまして、それしか能がないけど、他の分野のお医者さんってかっこいいなあ、と思ってテレビ見てます。
暑いよー、、、、
7月最終週、猛暑、酷暑です!
暑いよー、ほんとに気をつけないと熱中症になっちゃいます。日差しを避けること、体を冷やすこと、水分を補給することなど、意識してやらないといけません。汗をかきっぱなしで放っておくと、皮膚の敏感なアトピー性皮膚炎の子たちはかゆくて掻いてしまいます。汗をまめに拭いてぬぐって、家に帰ったらすぐにシャワーで汗を流して体を冷やしましょう。あせもができてしまってかゆければ、薬を塗ってください。
フランスでオリンピックも開催されています。トップアスリートたちの競技に集中する姿はすごいですね。スケボーの堀米、3回失敗したあとのあとがない最終回の挑戦で見事な技を決めて逆転優勝しました。体操団体男子でも、誰かが失敗したりうまく点が伸びなくても、それを非難したり重圧に感じたりせず、励ましあって気持ちを高めあって、みたいのが団体戦の醍醐味ですかね。中国を逆転して見事金メダルを取りました。そのほかの競技もたくさんあって、毎朝ニュースで選手の活躍ぶりを見るのが楽しみです。「感動を与える」という言い方が私は嫌いで、感動は自然にするもんだろう、もらうことはあっても与えるってのはどうかなと思います。
保育所や学童保育で、夏休みも家で過ごすことが少ない子どもたちが増えましたが、暑さに負けず夏らしい楽しい日々をすごしてほしいと思います。
アレルギーの専門医は少ない
手足口病が全国的に大流行です。はじめに喉が痛くなりますが、熱はあっても1日くらい。のどが赤くて水ぶくれができ手足にも発疹がでてきます。食欲がちょっと落ちますが、数日で元気になります。あまり合併症はありません。
来月小児臨床アレルギー学会で、医療連携のシンポジウムの座長をするので、小児アレルギー専門医がどのくらいいるか調べてみました。小児のアレルギー疾患は多く、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息は、年齢によって有病率は異なりますが、全体の6~15%くらいはあります。たくさんのアレルギーの子どもたちがいるのに大阪府では小児アレルギー専門医は109人で、そのうち北摂(豊中市、吹田市、箕面市)には8人しかいません。
アレルギーは慢性疾患で、安定して軽症であれば診療所に定期通院するということになります。気管支喘息であれば、発作を繰り返さないように予防治療が最低3か月から年単位で必要ですし、アトピー性皮膚炎も薬を塗ってよくなってもいい皮膚を維持するのが大変です。食物アレルギーは本当に制限が必要なものを最小限にして食べていく指導や負荷試験が必要です。専門医のいる小児科診療所は豊中で4か所(5人)、箕面で1人。吹田は今までゼロでしたが、7月から海老島先生が開業されるので、やっと1人誕生です。アレルギー科と看板にあっても、アレルギー専門医がいるわけではありません。何回もぜいぜいするのをくりかえすとか、薬を塗ったらよくなるが無くなるとまた悪化するとか、検査もせずにあるいは負荷試験もせずに、3歳まで卵やめなさい、なんていわれるようなら、専門医を調べて相談してください。
アレルギー疾患も、重症になると病院への紹介が必要になります。喘息発作で入院治療が必要になるとか、通常のステロイド外用でよくならない重症のアトピー性皮膚炎とか、食物アレルギーが重症で入院しての食物負荷試験が必要になるとかいう場合です。ところが北摂の国公立病院の小児科にアレルギー専門医は、市立吹田市民病院に1人しかいないのです。
アレルギー学会では、全国に拠点病院を作って、アレルギー専門医療を広めようとしています。大阪府には4つ(大阪赤十字病院、関西医大附属病院、近畿大学附属病院、大阪はびきの医療センター)ありますが、みな中部~南部なのです。食物アレルギーの重症児ははびきのにお願いすることがありますが、ちょっと遠いので、大阪市北部の専門医のいる病院に紹介しています。
ちゃんとした医療をするのも受けるのも大変ですね。