また今年も忙しい春です

この冬はほんとに寒かったですが、やっと3月半ばになって春めいてきました。桜が楽しみになってきましたね。
年度末の検査や書類の作成で、いつもの忙しい時期です。アレルギーの予約が取りにくくなり、土曜日も朝早くから並んでもらったり、ネット予約もすぐいっぱいで受診できなかったり、ご迷惑をかけています。医師二人でやっていますので、同じように対応できますのでご利用ください
アレルギーは慢性疾患です。治療を続けることが大切です。
喘息に関しては、長期管理といって薬をある期間継続することがあるのですが、その場合は2か月ごとの定期受診となり、薬が切れないうちに予約で受診してもらっています。そうすると発作のコントロールがうまくいきます。
アトピー性皮膚炎の塗り薬に関しては、それぞれの患者さんの重症度によって、薬の強さも塗る頻度も量も違います。プロアクティブ療法といって、ステロイドの塗り薬をしっかり塗って、よくなってもいきなりやめずに少しずつ減らしながらコントロールしていく方法は重症の患者さんにやっていますが、その場合は1週間後とか2週間後、1か月後と塗り方を変更するためにこまめに受診してもらいます。でもアトピー性皮膚炎のほとんどは軽症なので、部分的な湿疹にステロイドを塗ってよくなったらやめる、でも保湿やスキンケアは続けるというリアクティブ療法になります。最初のときに塗り方や、生活指導などはやるのですが、どうしてでしょう、やはり毎日毎日全身に保湿剤を塗る、というのは大変なのでしょうか。3-4か月分くらいの薬や保湿剤しか出してないのに、半年ぶりとか1年ぶりとかに薬がなくなりましたーと受診されると、またもとのようにガサガサざらざらぶつぶつかゆいかゆい皮膚に戻っています。慢性の病気なので、よくなっても維持することが大切なのですが、熱が出たとか咳がひどいとかでなく、皮膚だとあまり気にしないで受診しないご家族もいらっしゃいます。
食物アレルギーも、年齢とともに食べられるようになっていくのですが、食べさせなければ進みません。検査のたびに説明して、卵や乳製品の食べ方を説明するのですが、半年、1年ぶりに受診され、「食べられるようになりましたー?」と聞くと、「いや怖くて食べさせていません」「食べてくれません」「かゆいというのでやめちゃいました」「忙しくて・・・」。食べることも治療なのでこれでは治っていきません。半年放っておかずに、うまくいかなければまた心配なことがあれば、2-3か月くらいでまた相談してほしいのです。
それでも、中学生になる、高校生になるといった成長した子どもたちが久しぶりに来てくれる春休みは、彼らの成長を親御さんと一緒に喜びます。小児科医になって一番の楽しみですね。

赤ちゃんの湿疹は早く治す!

湿疹とは皮膚の炎症なので、炎症を抑える薬を塗ってよくする、それは病因と治療という意味で医学的に正しい治療なのです。大人の湿疹には適切なステロイド軟膏が処方され、短期で治っていきます。しかし長い間、赤ちゃんの湿疹は、「乳児湿疹」という名前で、赤ちゃんだからできる湿疹なので時期が来れば治る、とステロイドの塗り薬が治療に使われませんでした。ワセリンだけ塗って、よくなる赤ちゃんはいいのですが、どんどん湿疹が悪化し、赤ちゃんは掻きまくり、全身真っ赤になって汁も出て、痒みで眠れないという状態になって、6~12か月で入院になる赤ちゃんを、10年以上前病院にいたころたくさん担当しました。入院してしっかり薬を塗ったら皮膚はよくなるのですが、検査では卵乳小麦などいろんな食品にIgE抗体(アレルギーの抗体)をもっていて、離乳食は卵乳小麦除去で長らく食べられない、といことがよくありました。
先日17歳の高校生が受診され、お母さん曰く、小さいころ乳児湿疹で、大きくなったら治りますよと言われましたが、治りませんでしたねえと。もちろんこれはアトピー性皮膚炎で、今も、肘、膝、首元には湿疹があり、何より長年患ってきた証拠に湿疹の痕が残っています。
最近では、乳児であっても湿疹は積極的に治す、ということになっています。2か月以上痒みのある湿疹が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。アトピー性皮膚炎があると、そのあと喘息になるリスクは2~3倍、食物アレルギーは6倍にもなるのです。確かに湿疹の程度は、小学生くらいになると軽くはなります。今でも、自然に治るからステロイドなんか使わずがんばれ頑張れと患者さんを励まし続けるのが医者の仕事だと思っている小児科医がいます。しかし乳児期からの湿疹を放置すると以下のことが問題になります。(1)慢性の炎症により、皮膚はごわごわし(苔癬化といいます)、湿疹や掻き傷のあとが皮膚に残ります。こういう皮膚をもって思春期を迎える子どもたちの気持ちをどうしたらいいでしょう。(2)これははっきり証明されているのですが、湿疹があると皮膚のバリア機能が低下して、身の回りにあるいろんなアレルゲン(食物も環境物質も)が皮膚から入ってIgE 抗体を作ってしまいます(これを感作といいます)。感作されたからといって卵や乳を食べられないわけではないのですが、アレルギー反応がでるかもしれないので、やめときましょう、といわれて食べないでいるとそのうち本当の食物アレルギーになっていきます。ですから学会は最近、乳児でもしっかり皮膚をよくして、逆に卵も乳も早くから与えようと提言を出しています。20年前とはまったく違ってきているのです。(3)湿疹が続くと痒みが持続し、不愉快です。夜寝ると温まって痒みが増し、ぐっすり眠れず、朝もすっきり起きず日中も眠くて不機嫌で、遊びにも集中できません。皮膚をよくせずに何年も湿疹を持っていると、子どもの成長に及ぼす影響は量りしれません。子どもは夜中ぐっすり寝て、昼間はしっかり遊んで楽しく過ごしていろんなことに興味を持つのです。たかが皮膚のかゆみで、貴重な子どもの時間を無駄にしていいのでしょうか。
最近は2~3か月から赤ちゃんの湿疹を早く治すと、アトピー性皮膚炎にならずに、食物アレルギーにもならずに普通に育っていくことが多いです。20年前とはずいぶん変わりました。赤ちゃんとご家族には楽しく機嫌よく暮らしてほしいです。

インフルエンザ大流行

今年はなんて寒いんでしょう!
年明けの寒さと学校・幼稚園・保育所の始まりからあっという間にインフルエンザが流行してしまいました。例年であれば12月から1月にまずインフルエンザA型がじわじわと流行り始め、ピークを越えたころ、2月から3月にB型が流行します。AとBでは症状や熱の出方も違うし、薬の効き方も違うことがあります。今年はそれが早くから始まり、現在はA型もB型も同時に流行しているのです。厚労省の発表によれば毎週患者は増加の一方で、今年はもう200万人を超えているそうです。
当科でも、先週月曜日午前の外来の発熱で検査した14名中13名がインフル陽性でした。ぐったりしてる子も元気な子もいますが、今のところ通常のインフルエンザの症状で、最も怖い合併症の脳炎や肺炎はありません。しかし先週から今週にかけて、豊中市や吹田市の小中学校・幼稚園の学級閉鎖は増えています。警戒警報!というところ。
インフルエンザウイルスはかかっている人の鼻水や唾液や口腔内、いわゆる呼吸器のなかにうじゃうじゃいるので、感染しやすいのです。でも同じクラスの子や家庭内で家族がインフルエンザになっても、早くに隔離し、周りがうがい、手洗い、マスクをすることで予防も可能です。今からワクチンは間に合いませんので、みんなで防衛に努めましょう。
さて今年もアレルギー教室をいたします。2月8日木曜はアトピー教室です。いつも診察室では聞けないことや疑問に思うことを医者や看護師を独占して、エンドレスでお話ししましょう!小さいお子さんの保育もします。まだ空きがありますので、お問い合わせください。
インフルエンザに負けず、今年も頑張りましょう。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

Copyright © KAMESAKI Kodomo・Allergy CLINIC All Rights Reserved.