アレルギーの病気は気長に治療しましょう

私どもは、小児科のなかでも、アレルギーの専門治療をしています。

アレルギーの病気は、基本にアレルギー体質があって、皮膚や気道が過敏なことから、アトピー性皮膚炎や気管支喘息という病気になるのです。かぜをひいて、熱がでて咳と鼻水があって、1週間で治っちゃった、というような子どもに多い感染症や、虫刺されで痛くて腫れたけど1週間で治っちゃった、という皮膚疾患とは異なります。

アトピー性皮膚炎は皮膚が過敏で炎症があり、湿疹やかゆみが続く病気です。薬を塗ればいったんは治りますが、放っておけばまた症状が出てきます。薬を塗ってよくなっても、皮膚への悪化因子を除かなければまた再燃します。悪化因子とは、乾燥、暑さ、汗、入浴時の体温上昇、皮膚にさわる髪の毛や服の刺激、ペットの毛や家のホコリなど様々あり、またひとによって異なるので、細かい問診や指導が必要です。薬も、ステロイド外用薬がよく効きますが、塗り続けるとよくないので、出たら塗って、よくなったらやめて、また出て、ということが繰り返されていました。でも最近ではステロイドでない、塗り続けていい新しい薬が出て、ステロイドでいったんよくしてからその、モイゼルトやコレクチム、プロトピックを塗り続けることでいい状態を維持し、そのうち皮膚の炎症がよくなる、ということができるようになりました。この数年、重症だったアトピー性皮膚炎の子どもたちが本当によくなってきています。かゆみのないつるつるの皮膚で楽しく過ごしてほしいです。

気管支喘息も、発作のあるときだけ治療をして、よくなって放っておけばまた発作が起きます。それを繰り返すうちに気道の炎症は進んでいき、何年もたつと気道がかちかちになって元に戻らないリモデリングという状態になり、そうなるともう呼吸機能はよくなりません。発作の時の治療でなく、もともとの気道の炎症を抑える長期管理薬が必要です。飲み薬ではモンテルカスト、プランルカスト、それでだめならステロイドの吸入薬が追加になります。最低3か月は続けなければなりませんし、数年にわたることもあります。でも、あまり病気をしなくなり、成長して気道がしっかりする6歳前後になると発作も減り、長期管理薬も減らしていけるし、6歳で呼吸機能検査がよければ、小学校に入る前後で薬を中止できる子もいます。1~2か月ごとに定期通院してもらうので、大変ですが、薬を続けていれば咳もなく、発作も起きないということは、保護者の方が実感されていると思います。喘息も、発作を起こす悪化因子を知って、避けることが大切です。ハウスダストやダニ、ペットの毛、冷たい空気や激しい運動、かぜなどです。環境因子は掃除や工夫で除けますが、冬になると寒い空気はあるし、体育でマラソンはあるし、かぜは流行るし、こういうものは除けません。ですから長期管理が必要なのです。寒い中でマラソンをして、風邪をひいても発作がなければすいぶんよくなっています。呼吸機能の検査をして、患者さんと家族を励まして、喘息をよくしていこうと努めています。

定期受診の予約はいつもほぼ満杯です。みんな、来てくれてありがとう。どんどんよくしてかゆみや発作ゼロをめざそうね!

 

感染症の1年でした

年末になり、発熱患者さんがあふれています。

インフルエンザが急速に増えていますが、普通のかぜも多いし、今年はずっと続いている溶連菌感染症も混じっています。

熱型表は必ずつけて来てください。この形で、インフルエンザ、アデノウイルス、溶連菌など、それぞれの感染症に特徴があり、診断の助けになります。熱型と症状と診察所見で、疑わしい感染症の検査をします。

検査もいろいろで、インフルエンザは鼻腔で検査しますが、熱が出てから12時間以内では陽性率約35%、24時間で70%といわれています。出れば間違いないが、感染していても出ない偽陰性も多いのです。時間がたってウイルスが増殖して増えれば、陽性になりやすくなります。熱が出て3時間でも、高熱でぐったりしていると陽性に出ます。急速に増殖しているかもしれないし、熱に気がつく前から微熱で感染がおこっていたのかもしれません。

溶連菌は以前は、熱と扁桃腺炎(扁桃が赤くて痛くて、膿がついている)の所見があって初めて疑ってのどの検査をしていましたが、今年のように大流行していると、あまり赤くなくて膿がついていなくても調べると陽性のことがあります。今までは溶連菌を見逃していたのかもしれません。

今年はマイコプラズマも流行しましたが、高熱ではないが熱がだらだら続き、とにかく咳がひどいのです。マイコプラズマは細菌ですが、細胞内に入って増殖しないタイプなので、鼻やのどの検査で出る確率が少ないのです。なので、検査で陰性でも症状から怪しければ抗生剤が処方されることもあります。

こういう状況ですし、溶連菌の診断で抗生剤飲んでいても熱が下がらず三日目に調べたらマイコプラズマ陽性だったり、インフルエンザで薬飲んでも下がらず次に来たら溶連菌陽性だったりと、混合感染もちょくちょくあります。1週間熱が下がらなかったり、食欲がなくぐったりすると、入院を勧める例も何人かありました。

感染症の多い大変な1年でしたが、皆さんよくがんばりました。お正月はゆっくり休んで、また来年がんばりましょう。

 

肌荒れと体調を崩す

受診された患者さんに「どうされました?」と聞くと、よく返ってくるのが、「肌荒れがあって・・・」と「体調を崩しまして・・・」という文言です。

「肌荒れ」とは、国語辞典で見ると、{肌が荒れること、皮膚がかさかさになること}とあります。医者の感覚では、“乾燥肌”という受け取りをします。でも、どこですか?とその場所を診ると、湿疹だったり、とびひだったり、治療の必要な“皮膚の病気”のことが多いのです。それはそうでしょう、困って、なにか治療を求めて受診されているのですから。かゆみも痛みもないただの乾燥だったら、保湿クリーム塗って様子見、となりますよね。ですから患者さんのいう「肌荒れ」というのは、何らかの皮膚トラブル、ととらえたほうがよさそうです。よく「ぶつぶつができて・・・」というのもありますが、さあ、このぶつぶつが、湿疹なのか、発疹なのか、じんましんなのかは診ないとわからないし、どれかによって対応が異なります。ときどき診断のつかないぶつぶつで、皮膚科に紹介することもあります。

「体調を崩す」は、国語辞典では{体の調子を良好に維持できていない状態}とあり、まあその通りですよね。患者さんはそれで困って受診されてるのですが、医者の側としては、何がどう不調なのかを言ってもらわないと、診察もできません。それで、どこがどう悪いのですか?と尋ねることになります。足のここがいたい、とかおなかが痛くて下痢をしている、というようなことは初めからおっしゃることが多いのですが、なんとなく頭が重くて、とか最近食欲がなくて、とかあまり眠れなくて、という体調の崩し方だと、高血圧から脳腫瘍から胃潰瘍からうつ病まで、いろんな病気が考えられます。内科の先生は大変だなあ。実は小児科医は、子どもの体調が悪いのを親が見て連れてくるので、初めから「熱が出て・・」とか「咳がひどくて」とか、「下痢が続いて」とか具体的な症状を言ってもらえることが多いのでその分楽です。それと開業医で診る子どもの病気はかたよっていて、大半は感染症かアレルギーです。先天性の病気は早くにわかって専門病院で検査・治療を受けていることが多いし、悪性疾患や膠原病も開業医に最初に受診することもあるかもしれないけれど、ごくまれで、経過をみて診断がつかなければ病院に精査をお願いし、自分で診断・治療することはめったにありません。

その感染症・呼吸器領域では最近、いろんな病気がいっぺんに流行中です。溶連菌、インフルエンザ、マイコプラズマ、その他名前のつかない感染症。たくさんの患者さんの熱型表を見て、症状を聞き、診察して、必要な検査をそれぞれに選択して診断をしていきます。診断がつけば治療を行うか病気の経過をお話しするし、診断がつかなくても、どういう状態になるまで何に気をつけるかをお話しし、よくなるまで何回も診ます。何にせよ、ひとりひとりよくなると、ほんとにうれしいです。

医療法人 創和会 かめさきこども・アレルギークリニックは豊中市(緑地公園駅近く)にある、小児科・アレルギー科の専門医です。

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