かめさきこども・アレルギークリニック

院長 医学博士 亀崎 佐織
日本小児科学会認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
〒561-0872
大阪府豊中市寺内2丁目10番8号

電話:06-6865-5300

今月の独り言

2018/11/25

風邪の咳って?

 寒くなってきて、風邪が流行っています。インフルエンザもパラパラと出てきています。
 風邪は各種ウイルスによっておこります。ウイルス自体をやっつける薬はありません。インフルエンザウイルスとヘルペス・水痘ウイルスには抗ウイルス薬がありますが、一般の風邪のウイルスには特効薬がないのです。抗生剤は細菌に効きますがウイルスには効果がありません。
 ウイルスによって、どこに感染して、どういう症状を起こすかが違うし、個人の免疫力によって、どのくらい重症になるかも異なります。子どもではよく熱が出ますが、これは感染に対して体が反応して体温を上げるのです。ウイルスは人の体温で増殖することが多く、温度が上がると増殖しにくくなるのでからだは熱を出すのです。ウイルスによって、熱の出方が違います。インフルエンザは高熱が3-5日続くことが多く、アデノウイルスは上がったり下がったりの熱が3-7日、小さい子に起こる突発性発疹もウイルスですがこれは高熱がまる三日続いて下がったとたんに発疹が出ます。普通の風邪のウイルスの熱は1-3日くらいで下がることが多いようです。
 子どもの風邪でお母さん方が心配するのは咳です。でも咳は、もともと、なにか体に入ってきた悪いものを排除する生理的反応なのです。鼻、のど、気管、肺などにある咳受容体というセンサーに刺激が伝わると、脳にある咳中枢が刺激され、気道の筋肉が動くように指令が伝わり、咳が出ます。異物やウイルスが入ってきたときも同様で、つまり咳は体の重要な防衛反応で、からだにいいことをしているのですね。
 小さい子に多いのは、鼻水がのどに垂れ込んで起きる咳です。鼻がかめない2-3歳以下は、鼻水が鼻腔にたまっていて、あふれてのどにおりてくると咳をしておえっと出す。寝ているときにものどにおりてくるとしばらく咳して痰がきれるとまた眠る。こういう咳は、咳を止めるよりも鼻水を減らす、痰が切れやすい薬が効果的です。喘息の発作の時の咳は、気管支が収縮して、痰がたまり、それを出そうとして咳をするので、こういうときに咳止めは禁忌です。それは喘息のガイドライン(教科書みたいなもの)にも書いてあって、発作時に咳を止めると、気管支に痰がたまってしまうのです。気管支拡張剤で気管支を広げるのが第一です。
 最近はやっている風邪は、のどにウイルスがついてそれを排除しようとするのどからの咳が出ます。これは乾いた音の咳で、痰はからんでいません。ウイルスが死滅するまで数日のことですが、なかなかしんどいことがあります。百日咳の咳もしつこいので有名です。こういう時は、咳止めを使うこともあります。実は私も風邪をひいて、普通は1週間くらいでよくなるのですが、今年は免疫力が落ちているのか、なかなかよくならず、またぶり返したりして3週間目になります。ちょっと良くなっても、仕事で患者さんと話していると、だんだんのどがいがいがしてきて咳が出始めるのです。のどからの発作的に続く咳で眠れないこともあったのですが、強い咳止めが効いて、なるほど患者さんは薬で楽になるのだなあと実感しました。
 皆さんも風邪ひかぬよう、うがい、手洗い、十分な栄養と睡眠、規則的な生活が予防に効果的です。うーむ、自分はこれができていなかったということだな、反省。

2018/10/25

湿疹を治していろいろ食べよう

 先週、岡山で日本小児アレルギー学会総会があり、土曜日を休診して出席してきました。最近の小児アレルギーは、食物アレルギーの診断、治療についてや、皮膚からアレルギーが進む(経皮感作)という話が中心です。
 昔は、赤ちゃんの顔にある湿疹は、乳児湿疹といって、赤ちゃんだからとかそのうち治るからとかいって、治療をせず放置していたものですが、そのうちその皮膚からいろんなアレルゲンが体に入って、アレルギー体質をもつ赤ちゃんにはそのアレルゲンに対するIgE抗体ができてしまいます。抗体を持っていると、初めて食べた卵やピーナツでアレルギー症状を起こしてしまうのです。赤ちゃんでも、局所であっても、早くステロイド軟膏を使って治しておかないと、バリア機能が低下して、どんどんアレルギーが進んでしまうのです。以前は湿疹があると離乳食を遅らせましょうとか、卵は1歳までやめておきましょうと言っていたものですが、逆に早く少しずつ食べさせたほうが食物アレルギーが予防できることもわかってきました。いろんな研究で証明されたのです。今では学会は、「アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは早く湿疹を治して、卵アレルギーの発症を予防するために6か月から微量の卵摂取を勧める」という提言を出しています。この時の卵はよく加熱してあることが必要です。赤ちゃんに食べさせやすく手軽なのでよく卵ぼうろを勧める先生がいるのですが、卵ぼうろは主成分のでんぷんが火の通りが悪いので、しばしばアレルギー症状を起こします。それですごく怖がってしまうお母さんがいるのですが、それは選択した食品が不適当なのです。
 私が座長をした一般演題のセッションでも、ジャガイモでアナフィラキシーをおこした6歳児の報告がありました。いろんな食物アレルギーを合併している中にジャガイモもある、という患者さんはいるのですが、そういう人はアナフィラキシーを起こすことは少ないし、少しずつ食べられるようになることが多いのですが、この報告例は違いました。乳児期からアトピー性皮膚炎がひどく、母親がステロイド軟膏を拒否して湿疹が何年も続いていたのです。1歳までにジャガイモは食べていたのですが、1歳から保育園に行き始めてジャガイモを食べてアレルギー症状が出るようになりました。ジャガイモのIgEもどんどん上がっていきました。あとから分かったのですが保育園の粘土が、小麦アレルギーの防止のために、片栗粉(ジャガイモの粉)を使っていたのです。湿疹を治さない傷だらけの指でジャガイモを触り続けた結果経皮感作でジャガイモアレルギーになったと考えられ、負荷試験でちょっとのジャガイモでもアナフィラキシーを起こしてしまうほど重症になってしまいました。6歳になって後悔してもあとの祭りです。
 これから、皮膚をどんどんよくして、いろんなものを早く食べるようにすれば、いったん増えた食物アレルギーの患者さんも、10年後には減ってくるのではないでしょうか。それまで私がずっと診療をしてられるかどうかはわからないけど。

2018/09/30

ひどかった9月・・・

9月は台風に始まり台風に終わった月でした。台風21号では、クリニックのエアコンの室外機がひっくり返って、クリニックの半分が長いあいだエアコンが効かず、職員は大変でした。ほんとにずっと、気持ちのいい秋晴れはほとんどなく、子どもたちの運動会も延期延期の繰り返しでしたね。この気候のせいか、喘息の発作も多く、夏から続いているRSウィルス感染でも小さい子たちの気管支炎が多いです。加えて保育園の秋の意見書書きも増えて患者さんが多く、受診したくてもできない!というお叱りも受けました。すみません。
私は遠距離通勤してるので、地震や台風のたびに電車は止まるわ遅れるわ、数日間びくびくして過ごし、実際に帰れなかったり大阪に泊まったり。精神的にもくたびれる秋です。こんな年は初めて。
まあ天候には勝てません。がんばりましょう。

2018/08/30

暑い夏でしたね!

暑い暑い夏でした。もう8月も終わるというのにまだ厳しい暑さです。
この夏は、異常気象なのか、思わぬ大地震から始まって、大雨や台風や、全国に大きな被害がありました。小児科の病気のほうも、普段は秋から冬に流行するRS ウイルスが7-8月に流行し、保育園に通っている0-1歳児が多く気管支炎や肺炎になり、当科でも2か月で7人も入院をお願いしました。本来夏には発作が少ないのに、幼児・小学生の喘息発作も多かったです。子どもたちの病気にもなにか異変がおきているようです。
今日は地元の中学校の先生方の研修会に講師で呼ばれて、食物アレルギーの話をして、エピペンの実技指導をしました。開業した12年前、小学校に入学する子どものエピペンについて、学校の理解がなく、受け入れがひどかったことを思い出します。食物アレルギーなんて個人的な事情だから、とか、注射を打つなんて医療行為は学校ではしません、エピペン持ってくるのは自由だけど自分で保管して自分で打ってください、などなど・・・どれだけ患者さんの学校の先生と個人面談をして、理解を求め、エピペンを打ってくれるようにとお願いしたことでしょう。
それからすると、隔世の感があります。学校の先生方の仕事や業務が多く、過重労働が問題になっているなか、今日の研修でも、先生方は熱心に聞いてくださいました。どんなことも、正しい知識を得て、理解することから始まります。子どもたちにとって、学校は大切な生活の場です。安全に楽しく学び、生活できるように、先生方のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

2018/07/30

7月のぜんそく

 気管支喘息はいろんなきっかけで発作が起きます。子どもは、風邪をきっかけに発作が起こることが多いのですが、そのほかにも季節の変わり目、台風などの気圧の変化、冷たい空気を吸い込むこと、運動など、いろんな原因があります。本来7月は発作の少ない季節なのですが、今年は大雨があったり猛暑だったり台風がきたりなど気候がおかしいのか、なんだか発作を起こすウイルスが流行っているのか、発作で受診する患者さんが多いです。
 7月は9人の患者さんが、ウチから紹介入院したのですが、皆呼吸器がらみ。10か月から4歳までの小さい子ばかりです。純粋な肺炎は2人だけで、7人には喘息があります。喘息に肺炎を合併したのが3人。なかには、初めて受診された喘息で、ちゃんとした予防治療がされておらず、発作がひどくて入院になった子が2人いました。
 7月28-29日と福岡で日本小児臨床アレルギー学会があり、35年前この会の前身である難治喘息研究会を始めた大先輩の先生方の話を聞きました。ステロイド吸入のなかった時代、ほんとに子どもの喘息の重症はひどかった。夜に眠れず起き上がって空気が入らない息をして発作に苦しむ子がたくさんいて、重症な子たちは、施設入院療法といって、親元を離れて病院で生活し学校に通っていたのです。われわれより年上の小児科医はたいていひとりかふたりは患者さんを喘息で亡くしています。たとえば1970年には20歳未満で喘息死した人は740人もいました。2010年以降は喘息でなくなる子どもは0から数人になっています。
 昔は喘息の子たちは発作で学校を休み、体育は見学し、運動会や遠足は行けず、という生活でした。今はちゃんと長期管理をして、学校や幼稚園も休まず、好きな運動をして思いっきり遊ぶ、当たり前の生活ができます。皆さん、夏休みもいっぱいあそんでね。
追記:7月30日の外来では、クループと、喘息+RS肺炎の患者さん二人が入院になり、7月の入院数は11人になりました。夏なのにRSウイルスが流行しており、0−1歳で熱が続き咳がだんだんひどくなる時は要注意です。




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